欧州で苦戦「中国車両メーカー」の新たな足かせ 経験不足や違反に加え「ウクライナ戦争」の影も
世界最大の鉄道メーカーである中国中車(CRRC)の子会社、CRRC大同は2024年7月、ベラルーシ鉄道から受注していた15両の交流電気機関車BKG2型の納入延期を発表した。
この機関車はCRRCとフランスのアルストムによる共同開発で、変圧器や主電動機、コンバーター、制御装置、診断・監視システムなどの電子機器などはフランス製品を採用している。ウクライナ戦争において親ロシアの立場を取るベラルーシは、EUおよびアメリカの経済制裁の対象となっており、同国に対して西側諸国で生産した部品の供給を停止するという決定が下されたことが納入延期の理由だ。
「世界最大」でも欧州進出は難航
BKG2型電気機関車は、2021年12月にベラルーシ鉄道が中国電気輸出入公司およびCRRC大同との間で、総額6430万ユーロ(約103億6000万円)で契約を締結しており、契約を補助するために中国輸出入銀行が融資を行っている。
当初、2023年末までには納入される予定だったが、フランス製部品の使用が不可能となったことで、納入期限を2025~2026年まで延期。CRRCは中国製の代替部品を確保することで、この問題を解決するべく対応に追われている。
過去数年を振り返ると、中国政府およびCRRCは世界最大シェアとなった業績をさらに拡大すべく、世界各国への進出に躍起となっている。実際に、アジアや南米などの新興国では同社製品が徐々に浸透しつつある。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら