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欧州で苦戦「中国車両メーカー」の新たな足かせ 経験不足や違反に加え「ウクライナ戦争」の影も

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だがEU加盟国であっても、完全に足並みが揃っているわけではない。

ハンガリーのIT・物流・エネルギー企業のAcemil社は2024年5月、CRRC子会社のCRRC株洲との間で、鉄道車両の製造、保守、鉄道専門教育、研究開発の4つの分野でハンガリー国内に共同センターを設立することに合意した。また、同じく子会社のCRRC山東との間では、ハンガリーで客車の共同組立・製造に関する契約を結んでいたことも明らかにした。

ハンガリーで量産されるか注目される、CRRCが開発した電気機関車バイソン(筆者撮影)

中国の習近平国家主席は5月にブダペストでハンガリーのオルバン首相と会談し、ハンガリーの鉄道計画を中国の一帯一路構想の対象となるインフラプロジェクトのリストに含めることに合意したが、この発表はそれに続くものだ。オルバン政権が親ロシアであることはよく知られているが、ハンガリーは中国へも接近し、さらに中ロ寄りになったといえる。

「安さ」で中国製に頼る国も

ルーマニアも、CRRC子会社のCRRC四方と新型電車の製造契約を結び、都市間輸送に使用する予定となっている。経済的に余裕があるとはいえない国々では、欧米メーカーと比較して価格の安いCRRC製車両に頼らなければならない国がある、というのが現実でもあるのだ。

ヨーロッパ圏に位置しながらEUに加盟していない国の中には、中ロとヨーロッパ(EU)を綱引きさせて、自分たちの利益をうまく引き出しているところもある。鉄道に関しても同じで、セルビアはCRRC子会社のCRRC長春と、都市間特急用新型電車4両編成5本を導入する契約を交わしている。EUに加盟していないセルビアの場合、中国政府からの補助金は規制の対象とはならないため、より安く鉄道車両を導入できるという点で大きなメリットがある。

オーストリアではなかなか営業許可が下りないCRRC製2階建て電車(筆者撮影)
中ロ関係から欧州での展開については不透明なCRRC製車両(筆者撮影)

中国政府とCRRCが目論む世界進出だが、ことヨーロッパ圏においては、中国・ロシアと距離を置きたいという政府や国民の意識が強い国が多い。その中で経済的に裕福とはいえない国の鉄道会社が、高価な欧州製品を導入しつづけられるのか、それとも安価な中国製品の導入に踏み切るのかが、今後のCRRCの欧州展開では鍵を握ることとなりそうだ。

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