「国民・玉木氏」は不倫で"セミ化"してしまうのか 政策実現を掲げるのなら、しっかりアピールを
「見えにくいんですけど、あえて地べたからやらせてください」
準備された演壇を使わず、玉木氏は神妙に話し始めた。その横には沈痛な表情の榛葉氏が控えていた。これは「反省の意思表示」なのか。いや、そうではないだろう。玉木氏の顔を見ることができたのは前にいた一部の観衆だけで、有楽町駅前に集まった人の多くは2人の姿さえ見ることができなかった。
そして玉木氏は不倫問題について謝罪を述べて、榛葉氏とともにそのまま退場した。この間の時間はわずか7分で、せっかく初当選した議員たちにスピーチの機会も与えられず、照明や音響の機材はそそくさと片付けられた。
「頭を低くして謝罪した」と見る向きもあるが、これではまるで体のいい「アリバイ作り」ではないか。しかも特別国会初日という党にとって躍進のスタートラインとなるべきタイミングにこれでは、まさに前途多難といってよい。ちなみに第213回通常国会が開かれた1月26日には1時間余り、解散のために開かれた第214回臨時国会では、開会日の10月1日に50分程度の演説会が行われた。
いずれも多くの聴衆を前に政策を訴えており、有権者にダイレクトに「対決より解決」と具体的な政策を提唱したことで、この度の衆院選での躍進につながった。
党のリスクマネジメントのなさが露呈した会見
有楽町での演説の翌日に開かれた代表会見は、醜悪そのものだった。司会役の浜口誠政調会長兼役員室長は、「代表会見だから」という名目で、スキャンダルに関する質問を封じようとした。さらに最初にYouTuberを指名したが、この人物は22分もマイクを離さず、玉木氏にあれやこれやと質問を浴びせ続けた。
途中で「一問一答にしてくれ」という声が入ったが、そのYouTuberはマイクを離さず、司会役の浜口氏もそれをとがめる様子もなかった。あるいは「質問を妨害した」と批判されることをおそれたのかもしれないが、党のリスクマネジメントのなさが露呈したものだった。
それにしてもこれほど注目されるとは、本人たちも予期しなかったに違いない。現在の国民民主党が2020年9月11日に誕生した時のメンバーは衆参合わせて13名で、政党支持率はわずか0.1%(9月21・22日のNHK調査)にすぎなかった。以来、旧民社系参院議員など少しずつ仲間を増やしていったものの、国民民主党は支持率の低迷に長らくあえいだ。
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