アップルの「iPhone買い替え制度」の波紋 キャリアは顧客つなぎ止め強化へ

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 9月10日、米アップルが「iPhone(アイフォーン)」の新機種を手ごろな価格で買い替えられる新プログラムを発表したことで、米国の携帯電話各社(キャリア)は顧客のつなぎ止め強化を迫られそうだ。写真は「アイフォーン6s」と「アイフォーン6sプラス」。9日撮影(2015年 ロイター/Beck Diefenbach)

[10日 ロイター] - 米アップル<AAPL.O>が9日、スマートフォン「iPhone(アイフォーン)」の新機種を手ごろな価格で毎年買い替えられる新たなプログラムを発表したことで、米国の携帯電話各社(キャリア)は顧客の獲得やつなぎ止めへの対応強化を迫られそうだ。

アップルの新プログラムでは、アイフォーンユーザーが毎月最低32ドルを支払えば、SIMフリーの新機種に買い替えができる。ユーザーはキャリアをより簡単に変更できるようになり、いわゆる「2年縛り」と呼ばれる手法に頼っていた電話会社の経営モデルの根幹が揺らいでしまう。

CCSインサイトのアナリスト、ジェフ・ブレイバー氏は「キャリア側としては、自社の料金支払いプランや条件をアップルと確実に競争できるようにして、ネットワークや料金面の差を積極的に示すことで対応していくしかない」と話した。

アップルの発表に最初に反応したのはTモバイルUS<TMUS.N>で、10日に「アイフォーン6s」を毎月20ドルの18カ月払い、「アイフォーン6sプラス」を頭金なしの毎月24ドルでそれぞれ購入できる新プランを提示した。12日から開始するという。

ソフトバンク<9984.T>傘下のスプリント<S.N>のマルセロ・クラウレ最高経営責任者(CEO)は、アップルはスプリントが先月導入した「アイフォーン・フォーエバー」を模倣した、と語った。

アイフォーン・フォーエバーは、毎月22ドルの支払いでいつでも新機種にアップグレードできる仕組み。

一方でウェルズ・ファーゴのアナリスト、ジェニファー・フリッチェ氏は調査ノートで、ベライゾン・コミュニケーションズ<VZ.N>とAT&T<T.N>は、契約の大半が法人もしくはファミリープランで動きが比較的安定しているため、すぐに販売体系を変更する可能性は小さいと予想した。

米国ではアイフォーンの最大の取り扱い先はベライゾンだ。

ベライゾンの製品イノベーション・新規ビジネス担当プレジデント、マーニ・ウォールデン氏は、当面は販売方針を変えないと説明した上で、「われわれはアップルの新プログラムがベライゾンにどんな影響をもたらすかを見極めていかなければならない。だがわれわれは双方にとってメリットがある方法を引き続き探っていく」と語った。

モフェットネーサンソンのアナリスト、クレイグ・モフェット氏は「投資家とキャリアは、アップルの新プログラムに続いてこれからより重大な脅威をもたらす材料が出てくるかどうかを警戒しているのだろう。今のところは、まだ比較的事態は落ち着いている」と指摘する。

反対に明るい要素もある。キャリアにとって携帯端末の一部代金を負担する販売手法でこれまで利益が大きく圧迫されてきたが、アップルのプログラムでそうした負担が和らぐと見込まれる。

モーニングスターのアナリスト、マイケル・ホデル氏は「キャリアにとっては身の処し方が単純明快になる」と述べた。

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