異端児率いる「第2のユニクロ」が見据える先 アース ミュージック創業社長を直撃
――アパレルにもテクノロジーが必要になってくると。
KOEという新ブランドに関しては、ユニクロがベンチマークになる。ただ企業としてとらえると、僕たちはテクノロジーのイノベーションをユニクロよりも考えてやっている。ユニクロの「ヒートテック」みたいな流通プロダクトのイノベーションではなく、流通自体のイノベーションを考えている。
生産性が上がれば斜陽であるアパレルでも利益が出る。2兆円売らないと1000億円の純利益が出ないというのではなく、テクノロジーに傾斜していった場合、5000億円の売上高でも1000億円の純利益を出せる可能性が残っている。
これまでは全員、正社員だった
アベノミクスで世の中がインフレになるとしても、アパレルはデフレに向かっていくと思っている。eコマースが進むと経費がかからなくなり、それが価格に転嫁されてくると、どんどん上代(小売価格)は下がってくるからだ。イノベーションが新たに起これば別だが、アパレルはそれが起きづらい業界でもある。
その減少を補うためにも、これからは服を売るだけでなく、テクノロジーを使って、売った後の川下を伸ばし、トータルで売り上げを上げていく。車も売った後にメンテナンスがあるのと同じだ。最近(企業買収によって)クリーニングのサービスを始めたのもその一環だ。また日常着のレンタルビジネスもECで立ち上げようと考えている。車や音楽業界ではレンタルは当たり前。だけどファッションになると、ウエディングドレスはともかく、日常着では全世界で事例がない。
――全員正社員で成長してきたのも強みでしたが、今年2月にやめました。
全員正社員は創業時から今年2月まで約21年間やってきた。やろうと思ったきっかけは、そもそもアパレル業界は非正規が多く、人材の流出が激しくて社内のノウハウがたまらない。何か新規事業をやろうと思ってもノウハウのある人がいないので、守備的な組織しか作れないということがあった。
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