京浜東北線を運休「大井町駅工事」は何が目的か 大規模再開発の「玄関口」整備へホームを拡幅

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大井町トラックスは2つの地区があり、駅寄りの「A-1地区」は主にオフィスが入居する地上23階建ての「ビジネスタワー」とホテルや賃貸住宅が入る地上26階建ての「ホテル・レジデンスタワー」の2つの高層ビルを中心に、歩行者デッキなどに面したアウトモール(屋外)型の商業施設やバスやタクシーが乗り入れ可能な交通広場などを整備する。ビジネスタワーには映画館「TOHOシネマズ」も入居予定だ。

もう1つの「A-2地区」は品川区の新庁舎予定地に面しており、区と連携して災害時の広域避難場所にもなる約4600平方メートルの広場を整備する。

大井町トラックスの完成イメージ
大井町トラックスのイメージ。中央が「ビジネスタワー」、右が「ホテル・レジデンスタワー」だ(画像:JR東日本)
大井町トラックス 完成イメージ
災害時の広域避難場所となる広場も整備する(画像:JR東日本)

工事は2023年4月に本格着手。2024年10月に、名称を大井町トラックスに決めたと発表した。トラックス(TRACKS)は線路や通り道の意味で、隣接する車両基地や整備する歩行者デッキのイメージなどに由来する名という。総事業費は非公表だが、開業後は年間約130億円の収益を見込む。

大変貌する大井町

コロナ禍の苦境からは抜け出したものの、リモートワークの普及や人口減少など、鉄道を取り巻く環境は決して明るくはない。大手私鉄と比べて鉄道業への依存度が高いJR東日本の大きな課題は、不動産など「非鉄道業」の収益拡大だ。

建設中の大井町トラックス
車両基地に並ぶ山手線の車両と建設中の「大井町トラックス」のビル(記者撮影)
【写真の続き】イメージ図で見る「大井町トラックス」の屋外型商業施設や、新たに開設する改札から直結の駅前広場

同社は2020年3月に開業した高輪ゲートウェイ駅周辺に広がる「高輪ゲートウェイシティ」を中心に浜松町から大井町にかけての各駅で都市開発を進めており、このエリアを「広域品川圏」として収益基盤強化の1つの軸と位置付ける。大井町トラックスはその大きな柱だ。

2026年春の再開発エリア開業で、駅周辺の人の流れや街の姿も大きく変わるであろう大井町。電車を一時運休してのホーム工事は、その時が着々と近づいていることを示している。

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小佐野 景寿 東洋経済 記者

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おさの かげとし / Kagetoshi Osano

1978年生まれ。地方紙記者を経て2013年に独立。「小佐野カゲトシ」のペンネームで国内の鉄道計画や海外の鉄道事情をテーマに取材・執筆。2015年11月から東洋経済新報社記者。

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