先進国の成長率低下、人口動態だけではなくアニマルスピリットに問題

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介入で円高を阻止すべしと主張するメディアや賃金カットによって競争力を無理やり維持しようとする経営者は、帝国陸軍と発想が同じだ。

シュンペーターの“創造的破壊”には確かに憂鬱な面もあるが、古いビジネスが退出しなければ新しいビジネスは生まれず、成長はない。前述のスペンスは「労働者とその家族を守るという当然のニーズが、企業や雇用、そしてある産業全体を競争から守る政策に姿を変えてしまうケースがあまりにも多い」と指摘する。

こうした政策の歪みの背後にあるのは既得権益層の支持だ。スペンスは、必要なのは「失業中や有効な再教育を受けている間の所得支援、医療、教育をはじめとする基本サービスを保証すること」で「国民を変化から守るものではない」と言う。

現在の日本の場合、投資収益率が低過ぎることが問題だ。だから企業の余剰資金を含めた純貯蓄が外貨準備と財政赤字に回っている構造だ。09年からは投資が固定資本減耗を下回って、資本ストックが純減に転じるという事態が起き、エコノミストの間でショックが広がっている。

民間で資金が回らない

経済成長は資本ストックの増大、労働人口の増加、全要素生産性の向上(技術進歩とされる)に依存するので、生産労働人口が減り続け、さらに、資本ストックも減少するのだから、深刻な事態であるというわけだ。

 

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