ブランド物を欲しがる人と推し活する人の共通点 囚われの身になってしまう、偶像崇拝者たち

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彼らはみな、自己疎外をしているだけなのだ。

囚われの身になってしまう、偶像崇拝者たち

彼らはみな偶像崇拝者でもある。アイドルのファンが偶像崇拝者だというのは今さら説明しなくてもわかるだろう。

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ブランド物を欲しがる人は、上流階級の身分、貴族的身分を偶像としている。

より多くのお金を欲しがる人は、お金を偶像として崇拝してやまない。株価や為替変動に一喜一憂(いっきいちゆう)し、世界の有名な金持ちを羨望(せんぼう)し、とにかくお金以外のものに最高の価値を見出すことができない。人間はお金に仕える道具にすぎないと考えるほどなのだ。

その他にも、スポーツ選手などの熱狂的なファンも偶像崇拝者だ。崇拝者である証拠に、グッズを買う他、彼らは「元気をいただいた」とか「勇気をもらった」といった呪術的な表現を使うし、自分が応援したからチームが勝ったのだ、選手が活躍したのだとまで本気で信じる。物理法則や論理がまったく通じないレベルの考え方をするのだ。

偶像崇拝者はしょっちゅう偶像のことを考えている。それは執着のあげく自分が囚(とら)われの身になってしまっているということだ。ドイツの哲学者エーリッヒ・フロムは『悪について』(1964)でユダヤ教の指導者の一人イサク・マイエルの言葉を引用している。

「人が考えるということは、そこに人が呪縛されるということ」(鈴木重吉訳)

商人からすれば、熱狂的なファンは「ちょろい」だろう。なぜならば、誰も誘導しなくても偶像に対してみずから服従的崇拝をしてくれるからだ。彼らは固定客だ。商人はほくそえんでいる。

白取 春彦 作家

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しらとり はるひこ / Haruhiko Shiratori

1954年青森県生まれ。ベルリン自由大学にて哲学・宗教・文学を学ぶ。哲学と宗教に関して、明快で痛快な論評に定評があり、ベストセラー『超訳 ニーチェの言葉』(ディスカヴァ―・トゥエンティワン)のほか、『超要約 哲学書100冊から世界が見える!』(三笠書房)、監修に『図解 「哲学」は図で考えると面白い』(青春出版社)など著書多数。

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