次期トランプ政権下で米国株高は本当に続くのか FRBは再び「あからさまな圧力」にさらされる?

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さて、トランプ氏が掲げる経済政策の中で、経済成長率やインフレ率に直接影響するのは、関税引き上げ、そして減税や歳出拡大などの財政政策である。

関税を引き上げて税収を増やすいっぽうで、トランプ減税の恒久化、そして法人税減税が実現するだろう。アメリカの有力シンクタンクの試算では、トランプ政権の公約(減税、国防費増加、関税引き上げ)が実現した場合、財政赤字が今後7.5兆ドル(GDP対比25%)増えるとされている。このうちトランプ減税の延長分が4兆~5兆ドルなので、法人減税や残業所得の非課税化などの減税が追加で行われるいっぽうで、関税引き上げによる税収底上げを目指すようだ。

政策金利はいったん低下の後、4%前後で高止まりも

このため、次期トランプ政権の財政政策はやや拡張的ではあるが、経済成長をはっきり押し上げるには至らないだろう。一方で、関税引き上げによる輸入価格上昇がインフレを押し上げる影響が出てきそうだ。実際に、トランプ氏が言及するような形で輸入品に10%の関税を課すのは難しく、ディール(取引)の材料として関税引き上げが利用されると見込まれる。大幅な関税引き上げの対象となるのは中国からの輸入品、そしてメキシコなどからの一部の製品などに絞られると想定している。

それでも、2025~2026年にかけて輸入価格の上昇で、2%に向けて鎮静化する途上にあるインフレ沈静化の動きが鈍るだろう。その分、FRB(連邦準備制度理事会)による利下げ継続が2025年半ばには難しくなると見込まれる。筆者は2025年末まで緩やかな利下げが続き、政策金利(FF金利)が3.5%付近まで低下すると予想しているが、次期トランプ政権の政策が実現する中で、2025年に政策金利は4%前後でいったん高止まりする可能性が高まっている。

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