シニアと外国人女性専用シェアハウスの毎日とは 大阪市住吉区 異文化に接する暮らしが刺激に
まだまだ道半ば、「増やしてほしい」の声に応えるために
オープンから3年、コロナの影響も薄れてきた現在は、たくさんの反響があるそうです。特に外国人からの問い合わせは圧倒的に増え、シニアの人も県外のみならず、海外からも問い合わせがあるほど。
「シェアハウスを選択肢として考えたい人は多くいらっしゃるんだな、と感じています。『もっとシェアハウスを増やさないのか』というお声もいただきますが、今までは継続して運営していくことに精一杯でした。ようやく順調に動き出したところなので、増やしていくかを考えるのはこれからです」
コモンフルールの建物の再生にはかなりのお金がかかっていて、当初5~6年で改修に投じた資金を回収するはずだった計画が、コロナ禍の影響もあり7~8年ほどかかる見込みだそう。また、規模が大きくなったときの管理方法、入居者が自立した生活をできなくなったときにどうするかなど、まだまだ課題が多くあります。
「資金面からもコモンフルールと同じようなことはできないでしょう。クラウドファンディングなどを活用できると良いかな、と思っています。各地のコモンフルールを行き来できるような、多拠点で繋がっていければ面白そうですね」
当初の、シニア×外国人介護士という組み合わせのシェアハウス構想が実現すれば、居住者同士でシニアの生活をサポートすることも可能かもしれません。松尾さんの夢は広がります。
空き家を再生したい思いと、“住宅弱者”と呼ばれる人たちを受け入れたい気持ちが、うまく共鳴したプロジェクト。会社の代表である母と松尾さん、2人体制の小さな会社が、このような先進的な居住支援を実践していることに驚きを覚えました。
実現のポイントは、社会課題解決への熱意と周りを巻き込む行動力。そして多くの団体や行政との連携ではないでしょうか。
外国人とシニア、入居者と運営者がwin-winでつながりながら生活を共にする関係は、新しい形の多文化共生のモデルとして、NPO法人や研究者などが学ぶためにコモンフルールを訪ねることもあるそうです。これからの活動にも注目していきたいですね。
取材/りんかく 文/和田 文(りんかく)
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