シニアと外国人女性専用シェアハウスの毎日とは 大阪市住吉区 異文化に接する暮らしが刺激に
そしてシニア3名は全員60代で健康な人ばかり。「夫が亡くなって住み替える部屋を探したものの、ワンルームのアパートは不安」だという人や、「娘の近くに住みたい」と県外から越してきた人、現在も個人事業主として仕事をしている人、とさまざまです。
シニア女性たちからは「これまでインドネシアの若い人と接することなどなかったけど、コーヒーの文化の違いひとつをとっても刺激的!」「家庭料理、インスタント料理でも面白い」などの声が聞かれます。松尾さんは「異文化に触れ、日常的に適度な距離感で関わることは、シニアと外国人の双方にとって良い刺激となって、生活に張りが生まれている」と感じているそうです。
不動産会社の後継者として、社会問題に取り組む
松尾さんは大学で空間デザインなどを学び、父が設立した創業30年を越す西都ハウジングに入社しました。「このプロジェクトを立ち上げたのは、会社としても不動産をただ仲介するだけでなく、何か新しいことに取り組んでいかなれば生き残れない、とちょうど方向性を模索しているころだった」と当時のことを振り返ります。
「高齢者や外国人が賃貸住宅を借りにくいというのは、不動産業界ではごく一般的な課題認識としてあり、私自身も今後ますます高齢者の入居問題は増えるだろうと考えていました。
とくに大阪市では、全国平均と比べても高齢者の単身世帯率が高く、高齢単身世帯は夫婦世帯よりも借家率が高い状況にあります。さらに大阪市の中でも住吉区の空き家率が高いこともあり、この状況を解決する方法はないものか、と長く考えていました」