世界ヒットする松本人志「ドキュメンタル」の狙い 吉本・岡本社長がカンヌで示した迷いなき決断

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予定していたキーノートでは岡本社長がAmazon MGMスタジオのインターナショナル・オリジナル責任者ジェームズ・ファレル氏とともに登壇し、「ドキュメンタル」成功の軌跡を改めて語っていました。

吉本興業 ドキュメンタル
カンヌ映画祭の授賞式と同じ会場で吉本興業の岡本昭彦社長がAmazon MGMスタジオと共に「ドキュメンタル」の成功ストーリーを語った(写真:MIPCOM2024)

岡本社長が少々固い表情に見えたのはさておき、Amazonオリジナル番組の成功ストーリーとしての印象が強いキーノートと言えるものでした。後半パートでAmazon側のフランスとイタリアの制作責任者も登壇し、家族向けやハロウィーンなどイベント時期に合わせた作り方のヒントが披露されていたのもそれに拍車をかけました。

展開のカギはAmazonが握っている?

アメリカ版にも広がるかどうか、会場の関心はファレル氏の発言に集中し、権利を持つ吉本興業以上に展開のカギはAmazonが握っているように見えなくもありませんでした。ちなみにアメリカ版は検討されているようですが、今のところ未定です。

原点の企画力をもう少しアピールしてほしかった気がしないでもないですが、楽観的に考えても良さそうです。カンヌに参加する海外のプロデューサーの中には「ドキュメンタル」をはじめ日本のバラエティに影響を受けている人が実際にいます。イギリス在住のとあるプロデューサーから「日本のバラエティ番組がもともと好きで、インスパイアされて開発したものがある」と耳にしたこともあります。

時にくだらなくも、ノンバーバルで伝わる笑いを極めた日本のバラエティ番組の影響力は確かにあるのです。その役割をタレントも担っています。岡本社長は所属する6000人のタレントに次の「ドキュメンタル」を作り出すことを期待している様子です。

「渡辺直美やゆりやんレトリィバァなど、これからは海外にも自分たちの可能性をつかみにいくタレントがますます増えていくと思います。それをどこまでサポートできるのか、考えていく必要があります」

成功例が生まれたことで手応えを感じているゆえの発言でしょう。攻めの手を緩めるつもりはなさそうです。

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長谷川 朋子 コラムニスト

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はせがわ ともこ / Tomoko Hasegawa

メディア/テレビ業界ジャーナリスト。国内外のドラマ、バラエティ、ドキュメンタリー番組制作事情をテーマに、テレビビジネスの仕組みについて独自の視点で解説した執筆記事多数。最も得意とする分野は番組コンテンツの海外流通ビジネス。フランス・カンヌで開催される世界最大規模の映像コンテンツ見本市MIP現地取材を約10年にわたって重ね、日本人ジャーナリストとしてはこの分野におけるオーソリティとして活動。業界で権威ある「ATP賞テレビグランプリ」の「総務大臣賞」の審査員や、業界セミナー講師、札幌市による行政支援プロジェクトのファシリテーターなども務める。著書は「Netflix戦略と流儀」(中公新書ラクレ)。

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