技術の文書化で次世代につなぐ、タダノのクレーン作り

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 「人から人へ」の技術継承が立ち行かなくなってきている--その危機感をバネにタダノが数年前から強力に推し進めてきたのが、設計・製造ノウハウの文書化だ。クレーン作りの要諦を、ベテランと若手が協力して「TES(タダノ・エンジニアリング・スタンダード)」という技術標準に落とし込む。目的は、経験が浅い技術者でも、それさえ見ればきっちりした設計や製造ができるようにすることだ。この文書が今ではかなり充実してきており、西常務は「抜け落ちた世代の下の若い世代が成長してきている」と効果に自信を見せる。

もちろん、マニュアル作成だけでは限界があるが、タダノはその点も抜かりがない。マザー工場である志度工場(香川県さぬき市)に「道場」を設け、ベテラン技術者が若手に直接技術指導を行っている。目指すのは、従来型の一芸に秀でた職人ではなく、何でもできる多能工の育成だ。一人の技術者が様々な技能を持っていれば、手が空いたときにほかの工程の手伝いができ、効率のよい生産につながる。

技術者の育成に努める一方、タダノは製造工程のごく一部でロボットの活用も始めている。ただ、自動化が進む油圧ショベルの組み立てとは対照的に、自動化できる部分が少ないクレーンの製造はまだまだ手作業が中心となる。「周りに頼めるところがなく、自前で作るしかなかった」(西常務)という出発点からタダノが長年かけて培ってきたクレーン作りの技術。数年前から徐々に仕込んできた新しい伝承の形が、これからも試される。

(長谷川 愛 =東洋経済オンライン)

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