中国の業界関係者にとって、青山集団の唐突な撤退は驚きだった。アルゼンチンのリチウム塩湖の開発は、同社の(伝統的な金属資源開発・精錬事業から)新エネルギー分野へのシフトを象徴するプロジェクトであり、しかも本格生産の段階に入ったばかりだったからだ。
それだけではない。青山集団は2023年10月、南米チリにリン酸鉄系リチウムイオン電池の正極材の工場を建設すると発表。総額2億3300万ドル(約355億円)を投じて、年間生産能力12万トンの生産ラインを2025年5月に稼働させる計画だった。
アルゼンチンのリチウム抽出プラントは、チリの正極材工場への原材料供給を予定していた。業界関係者の間には、今回の権益売却は青山集団の新エネルギー関連事業にとってマイナスとの見方がある。
資金繰り悪化の臆測も
青山集団の性急な動きについて、市場からは資金繰りの悪化が原因ではないかと懸念する声も漏れ聞こえる。
同社はニッケル資源が豊富なインドネシアにいち早く進出し、ステンレス鋼および(電池材料の)ニッケル鉄合金の巨大な生産拠点を築いた。ところが今、青山集団は中国の不動産不況によるステンレス鋼の需要低迷と、(リチウムやニッケルなどの)新エネルギー関連金属の相場急落というダブルパンチに見舞われている。
中国の金属業界内で、青山集団はコスト管理能力の優秀さで知られており、相対的な競争力は高い。だがそれでも、インドネシアのニッケル鉄合金事業は生産設備の一部が2023年末までに採算ラインを割り込んだもようだ。
青山集団は非上場企業であり、財務情報を外部に開示していない。それだけに、同社の資金繰りの実態をつかむのは容易ではない。
(財新記者:盧羽桐)
※原文の配信は10月24日
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら