近視は「健康問題」を超えた「社会問題」である 災害などの急激な変化で備えるべきは「見る力」

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春山:自然の中で活動する機会があると、そういう想定シーンを実感しやすいですよね。ちなみに、私たち「ヤマップ」は流域地図を開発しました。その流域地図にハザードマップを表示したり、災害時に役立つ山道具の紹介や取り扱いもしたりしています。

(株式会社ヤマップ提供)

窪田:登山をする近視の人は、どのように備えているのですか?

春山:眼鏡の予備を持ち歩く人は多いですね。ただ災害にいかに備えるかについて、「非常食を備えましょう」とは言われますが、道具がない状態で身の安全をどう担保するかまで話が至らないことが多いと思います。

窪田:おっしゃるとおりですね。いつでも目が見えることは当たり前と思っている人が多いですね。緊急事態のときは道具が使えなくなる可能性がある、そのときはどうしたらよいか、またどう備えておくかも考えておきたいですね。

春山:緊急時にクリアな視界が確保できないのは怖いですね。

近視は社会全体の問題

窪田:ちなみに、近視の研究が始まったきっかけは、欧米の空軍パイロット養成校で起こったとある現象でした。その現象とは、入学時は全員視力に問題がなかったのに、訓練を受け卒業する段階になると毎年一定数近視を発症する生徒が出てくる。これでは、せっかく費用や時間をかけて育成しても実際にパイロットとして飛行できません。

国防や安全保障という観点からも、近視有病率が上がっていることは歓迎すべき現象ではありません。第1回でもお話しした中国では、近視有病者が増えていることによって国の経済面にも悪影響を及ぼしているとし、国策として近視抑制に取り組んでいます。

日本でも近視に関して、個人の健康面への悪影響にとどまらず、社会全体の問題として取り扱ってもらいたいですし、そのために発信をし続けたいですね。

春山:実は私の祖父も、生前私に「目を大事にしろ」と言い続けていた人でした。祖父は戦時中、特攻予備軍に所属していた飛行少年でした。

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