かろうじて生ゴミは捨てられていたようだが、それ以外のゴミ出しがどうしてもできなかったようだ。掃除をしていた様子もなく、とにかく家具、家電、床に積もったホコリの量がすごい。
机の上に重ねられた新聞紙を持ち上げると、その形にくっきりとホコリが残った。すぐ横にある油汚れで真っ黒になったガスコンロには丸焦げになった網が置かれたままだ。
鍋やフライパンを使うのではなく、網の上で何かを焼いて食べていたのだろう。新聞紙をゴミ袋に入れようとすると、間に何枚か使用済みの網が挟まっていて、新聞紙が張り付いていた。
今回、片付けの依頼に至った経緯を、義理の息子が話す。
「義父の膵臓にがんが見つかって、そこから1カ月弱で亡くなったんです。義父は離婚をしていたので、この部屋に15年間ずっと1人で住んでいました。亡くなった後、片付けをしようと部屋に入ったらこの状態だったので、“これは何とかせなあかんな”と」
ホコリから生前の生活が見えてくる
離婚した義父の元妻を含め、亡くなる直前まで義父とは交流があったという。
義理の息子にとっては義父というより、“年の離れたイケてる先輩”のような存在だった。義父との付き合いは3年になる。初めて会った日に和歌山県へ釣りに出掛け、すぐに仲良くなり、そのまま縁側のある旅館に泊まることになった。それから何度も一緒に釣りに行き、還暦祝いのパーティーも開いた。
しかし、生前、義父の家には誰も入ったことがなかったのだ。
「みんな(ゴミ屋敷になっていたことは)知らなかったです。まさかこんな状態とは思っていなかったのでびっくりです。たぶん1人では片付けるのが苦手な人だったと思うんですよ。でも、自分はもう離婚した身やからっていうのもあって、相談せえへんかったんやろと思います。でも、頼ってほしかったです」(義理の息子)
現場に入ったスタッフは6人。住んでいた家だけではなく、男性が近くに借りていたトランクルームも片付ける。すでに遺品はあらかた取り出しているので、どんどんゴミを袋に詰めていく。
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