「新型iPhone」は、メインディッシュではない ダークホースは「Apple TV」の新機能

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もっとも今年発表されたサムスン電子やソニーなどの他社製品が示すように、スマートフォンの進化は以前にくらべ緩やかになっている。iPhone 6Sシリーズは、昨年よりも良いiPhoneにはなるだろうが、そこに(機能や性能面での)大きな驚きはないだろう。

むしろ、日本国内に目を向けると、MVNOとSIMフリー端末への認知が高まってきたことや、データ通信量増加が世帯当たりの携帯電話費用負担増加につながっていることなど、携帯電話ビジネス環境の変化の方が注目される。日本市場で圧倒的な販売シェアを誇るiPhone発表後、各携帯電話キャリアがどのように新iPhoneを位置付けた販売プランを発表するかに注目したい。

iPadはどこに行くのか

一方、iPadはその立ち位置が現在問われている。

初代iPadは多様なコンピュータアプリケーションが”クラウド”に浸透しはじめた直後に登場した。プロセッサや基本ソフトのコストを抑えることで低価格化し、クラウドを活用するための小型コンピュータであった”ネットブック”最盛期に、クラウドを活用するならこちらの方がベターな方法だと示したのがiPadである。

ティム・クックCEOは今回、どのような隠し玉を用意しているのだろうか(写真:ロイター/アフロ)

しかしスマートフォンの能力向上や大画面化という流れに加え、マイクロソフトがSurfaceでパソコンとタブレットの融合を試み、またアップル自身もパソコンの生産性とタブレットに近い携帯性を持つMacBookを投入している。Androidタブレットの低価格化もiPadにとってはプレッシャーだろう。

こうした中で、アップルがiPadを再び成長軌道に戻せるかどうかが、新型機を評価する上でのポイントになってくる。

事前の情報では従来よりも大型の液晶パネルを搭載したiPadが用意されると言われているが、果たして画面サイズの違いを、どのような用途、位置付けの違いとして訴求するのか。タブレット端末の新たなあり方を提案する製品コンセプトが期待される。

もうひとつ注目されるのがApple TVだ。Apple TVに関しては、大画面テレビの4Kシフトが進む中、4Kストリーミングに対応した製品が投入されることは間違いないだろうが、それだけで”新製品”とするとも思えない。

ちまたでは、コンソール型の家庭用ゲームのうち、とりわけカジュアル層を取り込むのではないか、と言われている。Apple TV(現行機はiPhone 4S相当の古いプロセッサが搭載されている)が最新プロセッサに更新されるのであれば、確かにフルHDに対応したゲームを楽しむことが可能になるに違いない。

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