「トランプ大勝利なら関税大幅引き上げ」は本当か 2025年もアメリカの株価は堅調に推移しそうだ

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インフレ率が2%台まで沈静化しつつ、経済がソフトランディングの経路で落ち着く経済環境であれば、当然のことながらEPS(1株当たり利益)も増える。さらに、FRB(連邦準備制度理事会)による利下げがしばらく続きそうなので、時価総額の大きい「メガキャップ銘柄」を中心に、割高な領域にある米国株市場のバリエーション(PER=株価収益率などの指標でみた企業価値評価)も正当化されやすい。

このように、2024年初から続く好ましい状況が一段と鮮明になっているのだから、すでに年初の想定レンジの上限を超える株高が実現しているのだが、足元までの米国株の上昇に、引き続き違和感は覚えていない。

「レッドウェーブ」なら「アメリカファースト」が鮮明に

一方、11月5日に開票されるアメリカの大統領選挙が、世界の金融市場にとって目先の大きなイベントになる可能性が高まっている。仮にカマラ・ハリス大統領誕生、民主党が上下院とも議会を制する、いわゆるブルーウェーブなら、富裕層や企業への増税政策が行われるため、株式市場の心理を冷やすだろう。

ただ、10月に入ってからやや優勢だったハリス氏の勢いは衰えている。大統領選挙は依然僅差ではあるが、民主党が不利とされる上院選挙でも、民主党が多数派を維持する、ブルーウェーブの可能性はかなり低下した。ハリス氏の支持率が頭打ちとなり、株式市場にとって最も望ましくないシナリオの可能性が低下したことが、10月半ばからの株高を後押しした一因だろう。

金融市場が意識しているのは、ドナルド・トランプ氏勝利+共和党が上下院とも議会を制する、いわゆるレッドウェーブとなるケースである。この場合は、トランプ減税の継続など、やや拡張的な財政政策が実現するだろう。そして、拡張的な財政政策を繰り出しながら、中国を中心とした関税引き上げによって税収を補い、「アメリカファースト」の政策運営がより鮮明になるだろう。

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