働き方改革の目的は、「労働者がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会の実現」にありますが、現時点では、十分な成果は出ていません。
労働政策研究・研修機構の調査(2021年)によると、日本人の年次有給休暇の取得率は「56.6%」にとどまっています。残業時間は制限されても忙しいことに変わりはなく、休日も増えていない……というのが、日本のビジネスパーソンの実情です。
上司が休まないと休みにくい風潮
日本のビジネスパーソンが有給休暇を「取らない」→「取れない」背景には、日本企業に「上司が休まないと休みにくい」という雰囲気や風土が色濃く残っていることも深く関係しています。
20代の若手社員には、職場の空気を読まず、積極的に休みを申請する人が増えていますが、中堅以上の場合は、そこまでドライに割り切ることができません。
ある程度、社歴が長い人ほど、上司に気を遣ったり、チームリーダーの顔色を見て、「休めるかどうか?」を見極める傾向が強くなります。
そうした状況判断に対して、多くの上司が「責任感の現れ」と前向きに受け取っているため、「休める状況でも休めない」という状況を生み出しています。
上司が休まないと休みにくい企業には、次のような2つの特徴があります。
意外に感じるかもしれませんが、リモートワークが中心で、上司やチームリーダーと顔を合わせる機会が少ない企業ほど、休みを取りづらい傾向があります。
ベンチャーのIT企業などが代表的ですが、上司と部下のコミュニケーション頻度が極端に減っているため、腹を割って話ができない状況になっています。
「来週、子供の運動会があるので休みたい……」というようなことが、なかなか言い出せず、休みを見送る人が多いのです。
社長や会長の在籍期間が長い企業は、現場の実行力は高いですが、心理的安全性に欠ける傾向があります。努力と根性が優先され、「休む=怠ける」という認識が残っています。
こうした状況では、トップや上司が休まない限り、自分から「休む」とは言い出しづらい雰囲気があります。
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