香港警察が摘発「ディープフェイク詐欺団」の手口 生成AIで架空の人物を捏造、被害総額69億円超

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詐欺グループのアジトは香港の工業ビルの一室にあり、香港マフィアを背景に持つ中心メンバーの統率下で、まるで会社組織のように運営されていた。例えばグループの“人事研修部門”は、新入りのメンバーに専門的な研修や訓練を施し、中国語版と英語版のマニュアルも作成していた。

香港警察の発表会では、サイバー犯罪局の男性捜査官が架空の女性になりすます実演をした(写真は香港警察の発表会のオンライン中継動画より)

越境詐欺の実行にあたっては、(香港で一般的に使われている広東語ではなく)中国語や英語でターゲットとやりとりするコミュニケーション能力が求められる。さらに、複数のSNSプラットフォームを使い分けるスキルや、仮想通貨の専門知識も不可欠だ。そのため、“人事研修部門”はSNS上に虚偽の求人広告を出し、高学歴の若者を中心に募集していた。

取り分4割の誘惑に勝てず

そこに応じた新人たちは、グループに加わった後に初めて(仕事の内容がロマンス詐欺であるという)真実を知ることになった。しかし騙し取った金額の4割が自分の取り分になるという誘惑に負け、グループから抜けることなく犯罪に手を染め続けた。

本記事は「財新」の提供記事です。この連載の一覧はこちら

10月14日の香港警察の発表会では、サイバー犯罪局の陳智穎(チャン・チーイン)警視正が、ビデオ通話の画面上で自分の顔と声を若い女性のものに変える実演を行い、ディープフェイク詐欺への注意を喚起した。

陳警視正のアドバイスによれば、ビデオ通話で不信感を抱いた場合には、相手に対してカメラの前で首を左右に振ったり、顔の前で指を振ったりするように求めると、(動きの不自然さなどから)フェイク画像かどうかを見抜きやすいという。

(財新 駐香港記者:文思敏)
※原文の配信は10月15日

財新編集部

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Caixin

2009年設立の財新は中国の経済メディアとして週刊誌やオンライン媒体を展開している。“独立、客観、公正”という原則を掲げた調査報道を行い、報道統制が厳しい中国で、世界を震撼させるスクープを連発。データ景気指数などの情報サービスも手がける。2019年末に東洋経済新報社と提携した。(新型肺炎 中国現地リポート「疫病都市」はこちらで読めます

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