補聴器と何が違う?「AirPods」聴覚サポートの特質 アップルが示した革新的アプローチを徹底解説

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しかし、ある程度範囲が決められているとは言え、聴覚に関する問題をサポートできる上に、デジタルコンテンツを楽しむ上でより豊かなコンテンツ体験を得られるという意味で、医療機器としての補聴器にはない別の価値があると思う。

難聴ではないが、ステロイド治療の影響で聴覚に一定の問題を抱えている知人に試してもらったところ、ヒアリング補助を行った状態で映画を見たら、セリフなどが一段とクリアに聞こえたと喜んでいた。

聴覚を発端とした疾患の予防に

世界には15億人の難聴者がいると言われているが、そのうち10億人以上は軽度から中等度の難聴だ。言い換えるならば、その10億人を、何らかの形で支援できる可能性があると言えよう。

また、難聴は身体的および認知的なパフォーマンスの低下をもたらすという研究もあり、認知症のリスク増加など生活に大きな影響を与える可能性がある。

ヒアリングチェック機能は、難聴の早期発見を医療レベルの聴力テストで手軽に行え、ヒアリング補助によって”本来の聴覚”との違いを認識できる。これは大きな差だ。本人が自己判断で診察を受けていない場合に、受診するきっかけになるかもしれない。

難聴を初期段階で把握できれば、その後に続く症状の悪化や疾患の予防にもなる。

最後に個人的に気に入っている機能を追加で紹介しよう。

「大音量低減」機能だ。

AirPods Pro 2を用いるとトランスペアレントモードを通じ、自然に周囲の音を感じられるようにすると共に、音響全体の雰囲気や音域バランスを損なわず、音量だけを緩和してくれるモードがある。爆音の音楽ライブなどでは、耳の健康を害する可能性があるレベルまで最大音量が出てしまっていることが多いが、音楽そのものを損なわずに耳を守ることができる。

難聴はミュージシャンの職業病とも言えるが、AirPods Pro 2が守ってくれるようになる(写真:アップル)

誰もがヒアリング補助を必要としているわけではないだろうが、たとえ聴覚が正常であったとしても、こうした機能によって自分の耳の機能は守られるとするならば、ポジティブに捉えるべきだと思う。

本田 雅一 ITジャーナリスト

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ほんだ まさかず / Masakazu Honda

IT、モバイル、オーディオ&ビジュアル、コンテンツビジネス、ネットワークサービス、インターネットカルチャー。テクノロジーとインターネットで結ばれたデジタルライフスタイル、および関連する技術や企業、市場動向について、知識欲の湧く分野全般をカバーするコラムニスト。Impress Watchがサービスインした電子雑誌『MAGon』を通じ、「本田雅一のモバイル通信リターンズ」を創刊。著書に『iCloudとクラウドメディアの夜明け』(ソフトバンク)、『これからスマートフォンが起こすこと。』(東洋経済新報社)。

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