QBB「チーズの種類多すぎ」を生む組織作りの秘訣 「開発先導型」と「消費者起点」で描く成長戦略

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結果、「焦がしにんにく&ねぎ油風味」は販売後すぐにヒット。すると工場は「よかったやん」と喜び、「売れるんやったら協力するで」と、さらに協力体制が強まった。 

「新しい製品や味づくりについては自由度が高いですね。たとえ若手でも、誰かが一生懸命考えたことを、頭ごなしに駄目という文化はありません」と六甲バターのマーケティング本部長・黒田浄治さんは穏やかに話す。  

製造過程の匂いが課題となったが、発売後ヒットを記録した「焦がしにんにく&ねぎ油風味」(写真提供:六甲バター)

部署間の連携、風通しの良さを作る工夫 

さきほどのエピソードでも垣間見えるが、六甲バターでは、部署間の連携を大切にしている。ものづくりをする企業においては、得てして、作る側と売る側の連携がとれていないことも多い。だが六甲バターには、「部署の垣根を越えて議論できる」土壌があるという。 

特に製品開発の現場では、ブランディングや味を考える段階から、マーケティング部と製品開発部、営業本部で徹底的に議論を重ね、深めているそうだ。順を追って言えば、まずマーケティング部が消費者調査をしてニーズを掴み、方向性を決めて、営業本部と製品開発部と共有。製品開発部がそれに基づく製品を提案し、営業本部がその販売方法を考えるという流れ。この節目節目で集まって議論を交わし、最終的にお互いが納得したうえで、上層部に上申するスタイルをとっている。 

 兵庫県神戸市にある、六甲バターの本社(写真:六甲バター提供)

 また、後編で詳しく紹介するが、六甲バターでは「開発者による社内営業」も行われる。新製品の発売に当たり、開発者とマーケティング部、営業本部の企画部門担当者が全国の支店を回り、対面で商品説明を営業マン向けに行うのだ。相応の工数がかかるわけだが、結果的に、開発者が営業の視点を育成することにもつながっている。 

このように建設的な議論ができるベースには、「営業さんが店頭においてくれないと、消費者に届かないから」「おいしいものを作ってくれないと、消費者に愛されないから」と、お互いにリスペクトし合っている関係性がある。 

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