北海道新幹線、なぜ「1日10往復」だけなのか 衝撃の少なさに地元民も落胆

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

だが、2つの要素からJR北海道はこの構想を棚上げにした。

一つは2011年5月の石勝線におけるディーゼル特急脱線炎上事故で明るみに出た、安全管理体制の問題だ。その後、車両の点検管理、線路の保線管理の両面で構造的な問題が明らかとなる中で、ディーゼル特急の高速化というのは組織的に不可能とされるに至った。結果的に新型車の「キハ285系」は試作車の1編成が落成したところで開発中止となったのである。

二つ目は、札幌延伸の着工、そして前倒しが進んだという点だ。2015年1月に、札幌延伸の開業予定が当初予定の2035年度から2030年度へと5年の前倒しが決まった。ということは、「新函館北斗が終着駅である期間」も5年短縮となったということだ。

その結果として、JR北海道としては、今回の「新函館北斗開業」においては、リスクもコストも大きくは取れないし、取らないという方針に変わっていったと見ることができる。

スローながら着実に進行している開業準備

すでに地元では着実に開業への準備が進んでいる。まず、新函館北斗から函館への「シャトル電車」については、733系電車による「はこだてライナー」が3両編成で走るという構想だったが、函館の関係者、関係団体からは多客期に対応するために「6両化も可能」という要望があり、JRは基本的にその体制を用意することとなった。

新駅はほぼ完成し、駅前の造成も完了する中で、函館市サイドから要望の強かったバス乗り場の整備も終わっている。現在は、路線バス、そして湯の川温泉組合などとのアクセス体制の協議が大詰めに来ている段階だ。

この新駅が属する北斗市としては、将来の観光と産業の拠点とすべく駅前の大規模造成を行ったが、現時点ではバス乗り場に続いて、レンタカー各社の営業所、そしてホテルが1軒、地産地消型のレストラン1軒の進出が決定しすでに着工している。駅構内については、例えば新千歳空港のように土産物屋や海産物屋が軒を連ねるというわけには行かない中、八戸市の老舗弁当店「吉田屋」が「弁当カフェ」という形態で進出することが決定している。

7月末には道東から道央にかけて多くのリゾートホテルや高級旅館を成功させてきた「鶴雅グループ」(釧路市阿寒町)が、新駅から約10キロメートルの大沼公園にあるリゾートホテルを買収し、リノベーション、リブランディングを施して新幹線の開業に合わせて来春にオープンさせると発表した。

次ページどうやって乗客を増やしていくか
関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事