石破首相が提唱「アジア版NATO」は実現可能か? 現実に独裁国家が核の力で現状変更を考えている
台湾有事を横目でにらんで、イギリスの空母やドイツの艦船、航空機が何度も東アジアにやってきた。西側同盟を志向する活動だ。ウクライナ戦争では、西側諸国が武器や兵器を融通し、ウクライナ軍を支援した。
台湾有事の際には、同様の支援がヨーロッパの国々からも寄せられると思う。地理的な要因をすっかり克服はできなくても、地理的な要因を乗り越える努力は可能なのだ。
日本人がいま考えるべきこと
西側諸国が固い同盟をつくって牽制するなら、権威主義的な国家も勝手なことはできない。中国も、北朝鮮も。だが、東アジアは西側諸国がまばらで貧弱な地域だ。核を手にした中国や北朝鮮や、ロシアの勢力をはねのけるのはむずかしい。
従来は、アメリカ一国の核戦力と、日本や韓国の通常戦力で、バランスを保ってきた。アメリカが、西側同盟の代わりである。そのアメリカの核の威力が神通力を失うと、この地域の安全保障にほころびが生じる。
一般の人びとは、安全保障と核の問題について最低限、どういうことをわきまえておけばよいだろうか。安全保障の目的は、人びとが、平和に安全に、幸福に暮らせることである。自分たちの国の人びとが。そして、世界のすべての国々の人びとが。
核爆弾は、破壊力が大きい。軍隊や兵器はもちろん、社会インフラまで吹き飛ばしてしまう。その破壊力は大きすぎて、人間の想像力が追いつかないほどだ。
核爆弾を撃ち合う核戦争は、人類文明を破壊してしまう。人類の終末かもしれない。核戦争を起こさないことを、最重要な目標としよう。
戦争は、国と国との紛争を解決する手段である。残念ながら、戦争を完全になくすのはむずかしい。通常戦力による通常戦争は、起こるときには起こるものと覚悟しなければならない。そして通常戦争は、核戦争に移行する場合がある。
かつて日米戦争は、核戦争に移行した。移行するには条件がある。双方が核兵器をもってにらみ合っている場合、これまで核戦争が起こったことはない。核戦力の均衡が保たれるように、知恵をめぐらせなければならない。
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