「2024年問題」ドライバー不足を救う驚きの仕組み フィジカルインターネットは物流危機を解決するか
「これまで幹線物流を担ってきた日本通運などの大手は協力事業者を含めて輸送体制がしっかりしているので現状でもあまり困っていない。PIの普及で物流業界の重層下請け構造の改善を図るのは難しいのではないか」とみるシンクタンクの専門家もいる。現時点では、PIサービスの本格普及に向けたシナリオはまだ見通せていない段階なのだろう。
「“割り勘負け”しないルールをつくる」
日本では、欧州ALICEの動向を見ながらPIのロードマップを策定したが、伊藤忠の長谷川氏によるとALICEが最も重視しているのが「ガバナンス」だという。「共同輸配送を行ううえで、重要なのは“割り勘負け”しないルールをつくること。伊藤忠でもガバナンスに一番力を入れてサービスづくりを進めていこうと考えている」と話す。
国交省では今年3月にトラック貨物の「標準的運賃」の告示を約4年振りに改訂し、運賃水準を約8%引き上げたが、共同輸配送に対応するため貨物単位の個建運賃の設定ルールを明確化した。
しかし、荷主間でどのように割り勘するのかといったルールは決まっておらず、現状の共同輸配送は企業同士が個別に交渉して利用料金を決めている。PIを普及させるには、利用料金の公平性・透明性を確保する必要があり、国交省でも「PIに対応した標準的運賃のあり方を検討することになるだろう」(貨物流通事業課)と今後の課題と認識している。
航空機の予約システムでは、日時と経路などの条件を入力すると、航空会社を横断して空席のある便と料金を検索できるサービスが提供されている。貨物輸送でも、企業間やプラットフォーム間の物流情報を共有して最適な場所、経路、料金を見つけて自動的に予約できるような仕組みが必要になると考えられる。
ALICEでは、NECが開発した「eNegotiation(イーネゴシエーション)」を国際標準化し、AIやロボットが交渉・調整を行って自動的に予約できる環境を整えようとしている。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら