「2024年問題」ドライバー不足を救う驚きの仕組み フィジカルインターネットは物流危機を解決するか
伊藤忠商事でPI開発の中心となっている住生活カンパニー物流物資部海運・物資課の長谷川真一氏は、1993年に日本で初めて商用インターネットサービスを開始したインターネット・イニシアティブ(IIJ)の技術者だった人物だ。IIJの創業者である鈴木幸一会長のもと、インターネットの開発に携わるとともに、通信装置のモデムを配送する物流担当も経験した。
「IIJ時代からインターネットの仕組みは物流にも適用できるというアイデアは持っていた。PIは共同輸送を実現する物理的な仕組みだが、デジタルの仕組みがないと動かない。伊藤忠に移ってから欧州のALICEに参加し、国際標準化の動向も見ながら、2019年からシステムの開発に取り組んできた」
物流施設に集められた荷物をすべてトラッキング
インターネットは通信「インフラ」と検索や動画配信などの「アプリケーションサービス」で構成されるが、PIも物流「インフラ」と「アプリ」の両方が重要となる。PIのインフラは、政府が2021年に「物流情報標準ガイドライン」を策定しており、物流データを共有する情報プラットフォームを構築するとともに、「物流施設」が駅や空港のように荷物を積み替える「結節点」となるように機能強化する必要がある。
PIのアプリとして最初に開発しているのは、共配されるすべての貨物の計画と実績が可視化されるアプリケーション「SOM(Supply chain Order Management)」で、結節点となる物流施設に集められた荷物をすべてトラッキングできる仕組みである。
比重が大きい重量物だけを積むと荷台のスペースが余り、軽量物だけを積むとトラック積載量が余る。結節点で重量物と軽量物を最適に組み合わせて積み替え、その実績を記録することで、例えば5台で運んできた荷物を3台で運べるようになり、余剰となった2台を有効利用できる。同社が行った共同輸送の実証実験では輸送距離を26%、CO2排出量を21%削減できた。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら