小学生男子"突撃お宅訪問"マンガ誕生秘話を聞く 話題の『お家、見せてもらっていいですか?』

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「実は私の実家はゴミ屋敷とまではいかないですが、母が片付けが苦手で。以前、片付けをしに帰ったときに実際にあった母とのやりとりを参考にしました」と佐久間先生。

この「ゴミ屋敷」、娘のほろ苦い思い出などもさらりと織り込まれていて、モノと人、家と人について考えさせられます。

佐久間薫
(画像提供:佐久間薫KADOKAWA)

家と人はリンクする。マンガ片手に街歩きを楽しんで

主人公の道生くんが住んでいるのは、団地です。今では貴重ともいえる団地住まい、筆者からみると羨ましいのですが、道生くんは一戸建てにあこがれ、一軒家を訪れています。

「道生くん親子が住んでいるのは、当初、アパートという設定だったんですが、編集さんから団地のほうがいいのでは? とアドバイスをもらいました。そういえば私が育った町にも大きな団地があり、同級生もたくさん住んでいました。そこに住む道生を想像したら、なるほどしっくりきて」(佐久間先生)

こうした細部の積み重ねが、お話にリアリティーをもたらしているのだなと実感します。また、どのお話も、人と家が同期しているというか、やはり「家は人なり」ではないですが、その人そのものを表しているのだなと思いましたが、佐久間先生も同様に思っていたそう。

佐久間薫
家と人はつながっている。そう聞くと、納得します(写真:片山貴博)

「やっぱり家も人も結びついているなと思います。きらびやかな家にはきらびやかな人が住んでいて、やっぱりシンプルな家にはシンプルな人が住んでいる。もちろん、例外もあると思いますけど、何となくイメージがつくというか。どんな人が住んでいるのか、家ににじみでてくるような気がします」

そう聞くとがぜん、毎日の散策や家の観察が楽しくなりそうです。

「読者からも『この本を読んでから、家を見るのが楽しくなった』と言ってもらえたんです。私自身、何気ないものを楽しむのが好きですし、この本を読んで、そういう人が一人でも増えてくれたらいいなって思いますね。

特別にお金もかからないし(笑)、散歩して、お家を見て、たまにコーヒーなんかを飲んで、中には入れないけど、楽しく過ごせる手助けになったらうれしいです」

家に関心を持つことは、家や住んでいる人、まちへの愛着のはじまりだなと思います。庭木の様子、車、ゴミなど、普段は見落としがちな小さな変化に気づくこともあるでしょう。

遠くへの旅行もいいですが、近所を見てまわり、どんな家があって、その中には空間が広がっているのか、どんな暮らしがあるのか。そんな大人の夏休み、大人の自由研究があってもいいかもしれません。

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