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経済学者「水野和夫」が退官後に入った劇団の正体 資本主義に「抗う」学者と劇団の邂逅

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鈴木忠志の世界観のイメージイラスト
(イラスト:北沢夕芸)
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世の中、予期せぬ展開というものがある。

始まりは半年前のこと。

ある小さな勉強会で、旧知の経済学者、水野和夫氏が退官することを知った。彼には『株式会社の終焉』と題する著書がある。私は勝手に、通じるものを感じている。

「で、退職後は劇団に入ります」

えっ。最初に聞いた時、何かの間違いだと思った。以前にも触れたが、富山県の山奥、利賀(とが)村に拠点を置く劇団SCOTに、本人曰(いわ)く「下足人」として住み込むという。

「研究室の大量の本をどうしようかと悩んでいたら、鈴木(忠志)さんが、利賀村に送っていいというので、まとめて送りました」

鈴木忠志と劇団SCOT

スマホで利賀村を調べた。日本海からクルマで2時間ほどの山の中にある。そこで、演出家の鈴木は劇団を率い、50年にわたって脚本・演出を手がける。岩波の『思想』で特集が組まれるほど難解な「生きる巨人」だ。

後日、私は水野氏に会って、劇団のことを聞いた。

「いや、まあ、二拠点生活みたいなものです」

そうなんですね。で、サイトでは「夏に公演をやる」とだけ書いてあって、さっぱり分からんっす。

「まあ、そのうちサイトに、日程の情報が出ますよ」

そのうち……。そんな適当なのか? で、実際、そうだった。いきなり何の前触れもなくサイトに情報が出て、気づいた時は思いっきり出遅れていた(と思う。それすら、分からない)。

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