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電車かバスか?川崎を走った「トロバス」の軌跡 わずか16年で姿を消した工場地帯の「通勤の足」

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  • 森川 天喜 旅行・鉄道作家、ジャーナリスト
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川崎のトロリーバスの廃線跡は、容易にたどることができる。JR川崎駅前発の市営バス「川10系統」水江町行が、かつてのトロリーバスと同じ経路を走っているのだ。このバスに乗車して終点の水江町へ向かう途中、池上町バス停を過ぎた付近から、道路脇に鉄道の廃線跡が見えてくる。神奈川臨海鉄道水江線の廃線跡だ。

神奈川臨海鉄道は、上述した塩浜操駅と同時に開業した貨物鉄道会社(2023年2月26日付記事「川崎・横浜の港を走る、知られざる『貨物線』の実力」)で、川崎地区では塩浜操駅を起点に水江・千鳥・浮島の3地区を結ぶ貨物線3路線を保有・運行していたが、2017年9月、このうちの水江線が廃止された。

水江線はかつて、造船・セメント・鉄鋼・石油などの各企業の引込線と結ばれ、大量の貨物を運んだ。とくに国鉄の奥多摩駅および東武大叶線(おおがのうせん。1986年廃止)の大叶駅から輸送する日本鋼管(現・JFEスチール)向けの鉄鋼の副原料となる石灰石輸送は華々しかったが、1988年3月にこの石灰石輸送が廃止されると、以後は荷主がなくなり、保守用機関車が1日1往復するのみとなっていた。

日本から消えるトロリーバス

水江町地区の水江線廃線跡の敷地は、水江町と東扇島を橋梁でつなぐ臨港道路整備事業用地(橋梁の橋脚を現道に建てるための拡幅用地)となっており、いずれ道路になる。すでに工事は始まっているので、かつて鉄道が走った痕跡が少しでも残っているのを見るならば今のうちだ。なお、川崎貨物駅付近には、今なお水江線のレールや信号機などが残されている。

水江町の神奈川臨海鉄道水江線の廃線跡は、臨港道路整備事業の工事がすでに進められている(筆者撮影)
川崎貨物駅付近には水江線のレール等の施設が残されている(筆者撮影)

さて、今回は川崎のトロリーバスを中心に見てきた。CO2削減が課題となっている今となれば、トロリーバスは環境に優しい乗り物だったと理解されるが、東京(1968年廃止、以下カッコ内は廃止年)、大阪(1970年)、横浜(1972年)などの大都市では、市電とほぼ同時期に次々と姿を消していった。モータリゼーションの進展と公営交通事業の財政悪化がその理由だった。

そして、日本に最後まで残ったトロリーバスである「立山トンネルトロリーバス」も老朽化のため、2024年11月30日を最後に運行を終える予定だ。

【写真を見る】電車かバスか?川崎を走った「トロバス」の軌跡 わずか16年で姿を消した工場地帯の「通勤の足」(7枚)
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