LGディスプレイが中国の液晶パネル生産ラインを売却する背景には、ディスプレーパネル業界を取り巻く厳しい事業環境がある。
パネル業界は2022年から景気サイクルの下降局面に入り、メーカーの業績が軒並み悪化した。そんな中、LGディスプレイは事業の重点を(液晶パネルよりも付加価値が高い)有機EL(OLED)に移す決断を下した。
同社は1年前から、広州市の生産ラインを含む液晶パネル関連資産の価値算定および売却の交渉を進めてきた。LGディスプレイの説明によれば、その狙いは経営資源を有機ELに集中する「事業構造のアップグレード」にあるという。
強まる中国メーカーの支配力
TCL華星による今回の買収により、液晶パネルのグローバル市場では中国メーカーの支配力がいっそう強まりそうだ。
市場調査会社の群智諮詢の推定によれば、LGディスプレイの広州市の第8.5世代液晶パネル生産ラインは、全世界の約6%に相当する生産能力を有していた。それをTCL華星が取得することで、液晶パネルのグローバル市場における同社のシェアは25%を超える見込みだ。
その結果、中国の液晶パネル最大手の京東方科技集団(BOE)と第2位のTCL華星の世界シェアは、2025年には合計52.6%に上昇。すべての中国メーカーを合わせた世界シェアは72.7%に達すると、群智諮詢は予想している。
(財新記者:翟少輝)
※原文の配信は9月27日
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