「性加害疑い」ジャンポケ斉藤に欠落していた視点 いっときの快楽で、キャリアは容易に崩れてしまう

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事件として争われるのは「行為や同意の有無」だ。あらゆる証拠をもとに、法令や判例に照らして、司法判断が下される。しかし、表現者としての立場を考えると、そこではない部分にも考えをめぐらせる必要がある。

今回の内容が事実であれば、「前回のスキャンダル報道から1年以内というタイミング」や「ロケバスで行為に及べばどうなるか」に、どれだけ想像力を持っていたか。いっときの快楽で、これまでのキャリアが崩れてしまう可能性があると考えられなかったのか。

コンプライアンス意識が急速に高まっている芸能界で、これらが明るみに出たとき、どのような社会的責任を負う必要があるのか。そして、その際に周囲へどれだけの精神的・金銭的影響を与えるのか——。考えれば考えるほど、あらゆる配慮に欠けていたように感じられる。

なにしろ「笑えない」のは、芸人にとって致命的だ。今後トリオやピンで復帰して、再びネタやギャグを披露したとしても、視聴者の頭の片隅から、過去の印象が拭えないようでは、素直に笑うのは難しいだろう。

斉藤容疑者の今後の活路は

ひとまずは司法判断を待つことになるが、その後に活路を見いだせるとすれば、いじめ体験からの「文化人」だろうか。

かつて斉藤容疑者は「実はお笑いにどこかで区切りを付け、『笑ってはいられない』という子たちに寄り添う活動をしようかと考えた時期がありました」「子どもたちと直接会って、話を聞く機会をどんどんつくっていきたい」(北海道新聞2022年6月3日朝刊)と語っていた。

読売新聞での短期連載「斉藤さんの相談室」でも、小中高校生の悩みに答えつつ、「つらいこと、しんどいことがあったら、また僕に直接相談しなさい!」(2020年8月22日朝刊)と呼びかけていた。人生の先輩として斉藤容疑者が、「子どもの居場所」づくりへの期待を示していたことは間違いないだろう。

性的なイメージが付いた今となっては、子どもたちと直接対話する場は設けにくく、保護者からも敬遠されるに違いない。とは言っても、斉藤少年の体験と、それに基づく「いじめ観」そのものは、唯一無二のものであると信じたい。あらゆることに真面目に向き合い、かつ誠実に発信を続けていけば……。

筆者は斉藤容疑者の支援者ではないし、事案が事案なので、現段階では「別の道が開けるかもしれない」と述べることはしない。ただひとつ、間違いなく言えるのは「笑えない」展開になってしまったということだろう。

城戸 譲 ネットメディア研究家・コラムニスト・炎上ウォッチャー

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きど・ゆずる / Yuzuru Kido

1988年、東京都杉並区生まれ。日本大学法学部新聞学科を卒業後、ジェイ・キャストへ新卒入社。地域情報サイト「Jタウンネット」編集長、総合ニュースサイト「J-CASTニュース」副編集長などを経て、2022年秋に独立。現在は東洋経済オンラインのほか、ねとらぼ、ダイヤモンド・オンライン等でコラム、取材記事を執筆。炎上ウォッチャーとして「週刊プレイボーイ」や「週刊SPA!」でコメント。その他、ABEMA「ABEMA Prime」「ABEMA的ニュースショー」などネット番組、TOKYO FM/JFN「ONE MORNING」水曜レギュラー(2019.5-2020.3)、bayfm「POWER BAY MORNING」などラジオ番組にも出演。政治経済からエンタメ、炎上ネタまで、幅広くネットウォッチしている。
X(旧ツイッター):@zurukid
公式サイト:https://zuru.org/

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