セブン&アイ「ヨーカ堂一部売却」に透ける焦り ヨーカ堂幹部も「そんな話はなかった」と動揺

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ヨーカ堂株の早期売却を検討しているのは、セブン&アイHDの設立以降、非効率と指摘され続けてきたヨーカ堂事業の株式を一部でも前倒しで売却することで、構造改革の本気度を市場に示し、株価を上げる狙いがあるとみられる。

短期的にも株価を上げられれば、その分、クシュタールにとって買収のハードルが上がることになる。実際、株価は一連の報道を受けて上昇した。すでにクシュタールによる買収報道で高値圏にあった株価は、10月7日に一時2281円をつけるなど、上場来最高値を更新している。

また、ヨーカ堂がIPOする「条件」とした2025年度の財務目標(首都圏スーパーストア事業のEBITDAを2026年2月期に2023年2月期比3倍の550億円)についても、「計画達成は困難」(証券アナリスト)と指摘する市場関係者は多い。株式の一部売却を通じた外部パートナーの参画によって、収益改善やIPOに向けた戦略に説得力を持たせる思惑も透けて見える。

10月10日発表、中間決算の行方は?

積年の課題である構造改革が前進しつつあることは評価できるだろう。しかしセブン&アイのもくろみどおり、株価を維持、向上させるのは容易ではなさそうだ。

連結収益の大半を占める国内・海外のコンビニエンスストア事業は苦戦が続いており、10月10日に公表される2025年2月期第2四半期(3~8月、海外は1~6月)決算は厳しい結果が予想されるからだ。

近年の業績拡大を牽引してきた海外コンビニ事業は、7月公表の1~3月決算と同様、4~6月も既存店売上高の前期割れが続いている。

主力商品であるガソリンは、1ガロン販売当たりの粗利額(CPG)も北米事業の利益を左右する重要指標であるが、すでに公表された4~6月期のCPGは前年同期比7%減。前期並み程度だった1~3月からも悪化している。

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