川崎重工、「相次ぐ不正」で業界3位に凋落の危機 防衛の裏金問題と舶用エンジン不正に社長陳謝

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重工大手は防衛予算増の追い風を受ける。川崎重工も足元の業績は好調だ(撮影:尾形文繁)

今回公表した「舶用エンジンにおける検査不正についての調査報告書(中間報告)」では、「コンプライアンス違反の認識があっても言いだせない組織風土や、カンパニー(事業部)の機能不全、品質よりも納期や利益を優先してしまう意識」など、主に現場に問題があったことが不正の原因と分析している。

前出の社員は「重大事件が起きても問題を表に出さない事業部ごとの風通しの悪さは実際にある」と認める。一方で「現場だけでなく、経営陣や本社部門にどこまで危機意識や説明姿勢があるのかも疑問だ」と指摘する。

実際、個々の不正や不祥事は現場の問題であったにしろ、それが頻発する中で経営としての危機意識は伝わってこない。

経営トップの説明対応が遅すぎる

防衛事業の裏金問題については、7月3日に「第201期 有価証券報告書に記載の税務調査における指摘事項について」と題する紙1枚のプレスリリースを公表したのみで、本文を読まなければその内容はわからない。8月6日に決算会見があったが、山本克也副社長が橋本社長からのメッセージを代読する形で謝罪したのみだ。

舶用エンジンのデータ改ざんを公表したのは8月21日。それから1カ月以上、公の場での説明も謝罪もないまま。中間調査報告書を国交省に提出した9月27日、ようやく開いた記者会見で橋本社長自身が防衛事業の裏金事件と舶用エンジン不正の謝罪と説明を行った。同業の幹部からも「さすがに説明対応が遅かったのではないか」との声が上がる。

もっとも、不正は他社でも起きている。舶用エンジンの燃費データ改ざんは、今年4月にIHIの子会社で、7月には日立造船の子会社2社でも発覚している。IHIは過去にも航空機エンジン整備不正があった。自動車、電機、素材などあらゆる業界で何らかの不正が判明している。

だから仕方がない――ということはない。

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