自工会の志賀会長、エコカー補助金復活は「超円高や空洞化対策の必要性が理解された」
日本自動車工業会(自工会)の志賀俊之会長(日産自動車COO)は12月15日の定例会見で、3000億円規模のエコカー補助金が復活することについて、「超円高や空洞化対策の必要性が理解された。率直に感謝申し上げたい」と今回の政府の対応を評価した。一方で、自動車重量税の一部軽減にとどまった自動車関係諸税の見直しについては、「税の不公平感は解消されておらず、引き続き全面撤廃を求めていく」と語った。
自動車業界は道路特定財源の一般財源化や二重課税などの観点から、国に自動車取得税と自動車重量税の廃止を求めていた。だが、12月10日未明に政府税制調査会で決定された2012年度税制大綱では、重量税の一部軽減にとどまり、抜本見直しは先送りされた。
一方で政府は、円高対策の観点から、11年度の第4次補正予算案に3000億円規模のエコカー補助金を盛り込んでいる。前回のエコカー補助金は09年4月から10年9月まで実施され、販売台数の減少傾向に歯止めをかける役割を果たしている。
志賀会長は「政府に一定の理解は得られたが、(代替となる)財源問題をクリアできなかった」と、自動車関係諸税見直しの“敗因”を分析。一方でエコカー補助金が復活することについて「円高は本当に切実な問題。今後は内需拡大に結びつけ、国内生産を守ることがわれわれの次の仕事になる」と決意を示した。
12月の定例会見では次年の販売見通しについて述べることが通例だったが、現時点でエコカー補助金の詳細が明らかになっていないことや、タイの洪水影響を見極める必要があるとして、「年明け以降に公表する」と述べるにとどまった。
また欧州債務問題について、志賀会長は「自動車販売では欧州のすべての国が悪い状況ではない」としながらも「欧州危機が新興国に飛び火するかでさまざまなシナリオが考えられる。楽観的な見通しを立てるのは難しい状況だ」と危機感を強調した。
(又吉龍吾、並木厚憲 =東洋経済オンライン)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら