鳥貴族、「値上げ」でも客数激増、次は海外に攻勢 大倉社長が宣言、「焼き鳥を世界言語にする!」

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海外出店は2023年にアメリカ子会社を設立、2024年5月にロサンゼルスで15年以上営業を続ける焼き鳥店「HASU」を事業譲受。8月にはロサンゼルスでレストランタイプの「zoku」を出店した。2024年中には日本の業態に近い「TORIKIZOKU」をオープン予定だ。

アジアでも出店を進める。今年3月に香港企業とFC契約を締結し、4月に台湾で合弁会社を設立、7月に韓国で子会社を設立した。台湾と韓国では9月に1号店を出店、現地でも活況だ。香港も今年中の出店を計画する。

大倉忠司社長は「焼き鳥はすし、ラーメンに次いで世界に通用する第3の日本食になれる」と語ってきた。まずは東アジアとアメリカで足場を固め、東南アジアや欧州への出店も視野に入れる。

焼き鳥を「世界言語」にしていく

これまで、国内は鳥貴族の単一業態で成長を続けてきた。2023年にはFCで展開する「やきとり大吉」を運営するダイキチシステムを買収している。駅前繁華街が中心の鳥貴族と、郊外や住宅街が中心のやきとり大吉という違いはあるが、両ブランドとも安さが武器になっている。

鳥貴族は東北、四国などに未出店の地域があり、拡大余地がある。大吉も入店しやすい店づくりや、ロゴも親しみやすいものに変更するなど、リブランディングを進めている。

大倉忠司社長は焼き鳥文化を世界に広めると意気込む(撮影:ヒラオカスタジオ)

今後の店舗網拡大のカギとなるのは、中・高価格帯のブランドの展開だ。5月に高級焼き鳥業態「焼鳥 市松」を運営するAO社、「焼とりの八兵衛」を運営するhachibei crew社とそれぞれ業務提携を結んだ。この2社は海外にも出店している。業務提携を通じて、高価格帯ブランドの開発と運営のノウハウを蓄積する考えだ。

出店を進めるうえでは、人手不足の中で採用を強化し、人材育成を進めることも重要だ。海外では食材など調達網の構築も課題になる。大倉社長は決算会見で、中長期で人材基盤の強化に取り組む点に加えて「焼き鳥文化を世界に広げ、焼き鳥を世界言語にしていく」と宣言した。

国内では圧倒的な存在感を誇る鳥貴族は、海外でもブランドを確立できるか。今後3年は企業として一段の成長を試す勝負どころになる。

金子 弘樹 東洋経済 記者

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かねこ ひろき / Hiroki Kaneko

横浜市出身で早稲田大学政治経済学部を卒業。2023年4月東洋経済新報社入社。現在は外食業界を担当。食品ロスや排出量取引など環境問題に関心。

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