ブックオフ「続々閉店?」報道の裏で進む大変化 「本を売るならブックオフ」は次第に過去のものに

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

こうした客層を広げる試みは、その立地戦略を見てもわかる。「スーパーバザー」、東京23区では1店舗だけで、都内で見ても立川、町田、多摩永山と郊外立地である。

注目したいのは、立川・町田とも国道16号線沿線の街で、ここは流入してくるファミリー層が多いエリアということ。2023年の住民基本台帳人口移動報告を見ると、0〜14歳の人口流入の上位には、町田市や八王子市、柏市や千葉市など16号線沿線の街が多くランクインしている。

ザ・ロードサイドな景色が続く国道16号線
ザ・ロードサイドな景色が続く国道16号線(筆者撮影)

つまり、郊外にいるファミリーに向けた店舗戦略を取っているわけだ。まさに客層の拡大。その意味でスーパーバザーの狙いは、とてもわかりやすい。

ブックオフが目指す「両利きの経営」

実はブックオフ、そもそもの始まりが「ファミリー層」に向けた店を展開していた。ブックオフの始まりは相模原で、その周辺には都会に通うサラリーマン層の家族が多く移り住んでいて、彼らに向けたビジネスだったのだ。

元々「古本屋」といえば、ちょっと薄暗くて本が高く積んであって……というイメージだったが、ブックオフは店内の照明を明るくし、本も見やすいように整然と並べ、それによってこれまで来ることのなかった女性層やヤング層にも支持されていく。

その意味では、ブックオフはいつの時代も「客層の拡大」を行ってきたのである。ある意味、「スーパーバザー」への転換は新規事業でもあり、ブックオフの理念を踏襲するものでもある。

その意味で事業の「深化」と「探索」の両軸が行われているといってもよい。この言葉は「両利きの経営」という経営概念の中で提唱されている言葉で、ある企業の経営戦略が伸びていくためには、既存事業の「深化」と新規事業の「探索」の両軸が必要だと述べたものだ。

そう思っていたら、ブックオフグループホールディングスの株主向け説明会資料に、まったく同じような説明があった。その中期事業計画を説明するページでは「探索と深化を兼ね備えた持続的な成長」が掲げられている。明らかにブックオフは「両利きの経営」を意識している。

ここでは「本を売るならブックオフ」から「本だけじゃないブックオフ」、さらに今後の展開として「ブックオフだけじゃないブックオフ」へと「ブックオフ」を軸にしつつも、それを展開することが掲げられている。

次ページ理念を守りつつ、多角化するブックオフ
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事