ついに動いた!任天堂vs.パルワールド訴訟の焦点 ポケモンに酷似?協業するソニーの出方は

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

一方で、任天堂はかねて特許権訴訟に積極的ではないとされてきた。大手ゲーム会社の関係者は「ゲーム業界では関連特許が膨大な数に上り、完全に侵害を避けることは難しい。任天堂は自社のハードにソフトを提供するゲーム会社側が開発上の制約を受けないように、特許権の侵害についてあまり目くじらを立ててこなかった」と話す。

これまでに任天堂が提起した特許権侵害訴訟では、2017年12月にコロプラに対してスマホゲーム「白猫プロジェクト」の配信差し止めや損害賠償を求めた訴訟があるが、提訴に至る前に、水面下での交渉が1年以上も続けられた。

結果的に交渉はまとまらず、裁判ではキャラクターの操作方法やスリープモードからの復帰方法など6件の特許侵害について争われ、2021年8月にコロプラが33億円の和解金を支払う形で決着した。

ソニーとの協業の行方に影響は?

今回の訴訟の対象となる特許権の具体的中身は明らかになっていないが、福井弁護士は「特許の内容次第では、ポケットペア側は軟着陸させる方法を考えるだろう。その場合、特許権侵害を避ける形でゲーム内容を修正する、またゲーム修正も条件に和解を持ちかける、といった可能性が考えられる」と指摘する。訴訟が泥沼化すれば、事業拡大を進めるポケットペアにとって打撃となりかねない。

ここで気になるのは、協業するソニー側のスタンスだ。ポケモンが1月に出していた声明文やユーザーの反応などから、ソニーも協業を決めた時点で、訴訟リスクについてはある程度想定していたと考えられる。

仮にパルワールドの販売差し止めが求められるような事態になれば、ソニー、アニプレックスと取り組むライセンス事業への影響は不可避となる。ソニー・ミュージックエンタテインメントの広報は「今後の事業展開について、現時点でお伝えできることはない」としている。

9月19日に出したコメントで、「今回の訴訟により(中略)インディーゲーム開発者が自由な発想を妨げられ萎縮することがないよう、最善を尽くしていく」などと強調したポケットペア。ただ、今後の訴訟の展開次第では、巨大企業vs.小規模ゲーム会社という単純な構図で収まらない可能性もある。

田中 理瑛 東洋経済 記者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

たなか りえ / Rie Tanaka

北海道生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。ゲーム・玩具、コンテンツ、コンサル業界を担当。以前の担当は工作機械・産業用ロボット、医療機器、食品など。趣味は東洋武術。

この著者の記事一覧はこちら
森田 宗一郎 東洋経済 記者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

もりた そういちろう / Soichiro Morita

2018年4月、東洋経済新報社入社。ITや広告・マーケティング、アニメ・出版業界を担当。過去の担当特集は「サイバーエージェント ポスト藤田時代の茨道」「マイクロソフト AI革命の深層」「CCC 平成のエンタメ王が陥った窮地」「アニメ 熱狂のカラクリ」「氾濫するPR」など。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事