面倒くさがりでも意志の力いらず「続ける技術」 ダイエット、禁煙、貯蓄―挫折の末にこれを試せ
おわかりだと思うが、この点はコミットメント・デバイスにおいて重要だ。なぜならみずからペナルティを課す場合、あるいはペナルティを課す基準があいまいである場合、言い訳をして罰を免れることができるからだ。
罰金アリはナシよりも実行性が4倍高い
ノースウェスタン大学の行動経済学者、ディーン・カーラン教授のチームは、ダイエットや禁煙などの習慣化を後押しするサイト「StickK.com」を開発し、好評を得ている。この成功のカギは、第三者によるペナルティだろう。
たとえば毎日30分ウォーキングしようと決めたらサイトにアクセスして「1日30分歩く」目標を設定する。ここで、クレジットカードの番号の登録が求められる。もしウォーキングをさぼった場合(本人、あるいは状況を判断できる身近な人「レフリー」が報告)、ペナルティが下される。懐が寒くなる程度の金額(自身が設定)がクレジットカードに課金され、当人が支持していない政治キャンペーンに寄付されることもある。
StickK.comに登録した目標が必ずしもペナルティと結びついているわけではない。罰金のないペナルティも選択肢にあるので、ノルマを達成できなかったからといって寄付をする必要はない。たとえペナルティがなくても、目標を達成できるだろう。
とはいえ、やはり効果的なのは罰則だ。StickK.comのユーザー約2万人を分析した最近の調査では、金銭的なペナルティを選択したユーザーは全体の3分の1にとどまったが、罰金が発生しないペナルティを選択したユーザーに比べて約束を実行する可能性が4倍以上高いことがわかった。
コミットメント・デバイスは魅惑的な戦略だ。心理的コミットメントや選択肢の排除、あるいは抑止力となるペナルティなど、さまざまな方法があるが、いずれの方法も、未来の自分にとって忠実な行動を取るための助けとなる。
この戦略の効き目がもっともあるのは、誘惑に弱いことを自覚している人だろう。自制心を呼び起こすにはまず欠点を排除しなければならないが、実際はその欠点に寄り添うことが、自制心を発達させ強化するための重要なステップになるというのも皮肉な話だ。
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