面倒くさがりでも意志の力いらず「続ける技術」 ダイエット、禁煙、貯蓄―挫折の末にこれを試せ

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イヤールにとって、カロリーを燃焼するための運動は何でもいい。ジムに通ったり、腹筋をしたりするのもいいが、ただ散歩するだけでもかまわない。とにかく動くことなら何でもかまわない。

第三者によるペナルティの効果が高い訳

「100ドル札を燃やす」という作戦は非常に効果があった。それまではほとんど運動していなかったが、この戦略を取り入れてからというもの、体を動かすようになったそうだ。

この「脅し」は、行動を促すには十分な痛みを伴うが、放棄するほどの苦痛でもない。3年経った今も、彼は「燃やすか、燃やしてしまうか」という決断を日々下している。かつては肥満と診断されたものの、現在44歳のイヤールはかつてないほどに引き締まった健康体だ。

「適切な罰を与える」戦略については、研究者も実験を重ねている。この種の「罰金制」のコミットメント・デバイス(自分が誘惑に襲われることを事前に予測して対策を立てることを指す)については、食べ物や運動以外でも成功例が見られる。

たとえば、ある6カ月間の禁煙プロジェクトで、禁煙に挑戦する参加者の口座にお金を振り込むという試みを行った。

6カ月後の尿検査でタバコを吸ったことが判明すれば、お金は没収され慈善団体に寄付される。約10人に1人の喫煙者がこのプログラムに参加。その結果、参加者が6カ月後の尿検査に合格する確率は、参加しなかったグループに比べて3%高かった(ちなみに1年後の抜き打ち検査でも合格する傾向が高かった)。

同様に、中途引き出しのペナルティがある投資口座は、同じ利率が保証されている、ペナルティのない口座に比べて多くの預金が集まることが、行動経済学者のジョン・ビシアーズのチームによって判明している。これは401k(アメリカの確定拠出年金)など、金利は保証されているが、期日前に預金を引き出すとペナルティが課されるケースと同じ理屈である。

健康的な食生活、禁煙、貯蓄――。こうした習慣を促すコミットメント・デバイスに共通するのは、第三者がペナルティを与えること、そのペナルティが自動的に発生することだ。

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