最新ハーレーがスポーティ路線に舵を切った理由 「ストリートグライド/ローライダーS」試乗記

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ハーレーならではのグライド感は残しつつスポーティに

1965年に登場したツーリングファミリーの元祖、FLHエレクトラグライドの流れをくむバットウイングカウルとサイドバッグが特徴
1965年に登場したツーリングファミリーの元祖、FLHエレクトラグライドの流れをくむバットウイングカウルとサイドバッグが特徴(写真:Harley Davidson)

1969年製に初めてバットウイングフェアリングが採用された「エレクトラグライド」を彷彿とさせるシルエットはまさにハーレーの象徴だ。その意味でストリートグライドはハーレーの中でも最もスタンダードな存在とも言える。巨体でもシートが低く乗り降りしやすいのもハーレーの美点。とくにストリートグライドはハンドルの位置が低く、グリップも近く感じられるため自然なフォームで乗れるので楽だ。

空冷45度VツインOHV4バルブ排気量1,923ccのミルウォーキーエイト117。最新モデルでは一部に水冷方式を取り入れ、冷却効率を高めるとともに出力とトルクを向上
空冷45度VツインOHV4バルブ排気量1,923ccのミルウォーキーエイト117。最新モデルでは一部に水冷方式を取り入れ、冷却効率を高めるとともに出力とトルクを向上(写真:Harley Davidson)

1923ccの「ミルウォーキーエイト117」エンジンは、空冷Vツインらしいワイルドで迫力ある排気音と脈動するトルクが力強く味わい深い。それでいてバランサー内蔵で回転も極めてスムーズ。どっしりとしていて乗り心地は柔らかく、平らな路面を滑っていくような走りが気持ちいい。ちなみにハーレーのモデル名によく登場する「グライド」とは滑空するという意味だが、まさにその感覚。ズ・ドッ・ドッ・ドッと間隔の長いビートと低振動のエンジンは快適そのもの。排気量2Lに迫るエンジンの分厚いトルクに乗って高速道路を悠々と流していくグライド感はハーレーでしか味わえないものだ。

ワインディングでも素直な乗り味

ハーレーの象徴、イーグルデザインのDRL(デイタイム・ランニング・ライト)一体型ウインカーを埋め込んだLEDヘッドライトを採用
ハーレーの象徴、イーグルデザインのDRL(デイタイム・ランニング・ライト)一体型ウインカーを埋め込んだLEDヘッドライトを採用(写真:Harley Davidson)

ワインディングでも走りのよさが光っていた。コーナリングは速度域やコーナー曲率にかかわらずクセがなく素直で、タイトに曲がり込む低速域でもハンドルの切れ込みや倒し込みでの立ちの強さも感じない。さすがに軽快とは言えないが、狙ったラインに正確に乗せていく重厚な乗り味はクセになる気持ちよさだ。この巨体にして街乗りから高速移動までオールマイティ。アメリカの白バイにも昔から同タイプが多いのも頷ける。

フルカラーTFTディスプレイの両サイドに高性能スピーカー、その外側にバックミラーを配置する高級4輪車のようなコックピット。メーター下にはスマホが収納できる引き出し付き
フルカラーTFTディスプレイの両サイドに高性能スピーカー、その外側にバックミラーを配置する高級4輪車のようなコックピット。メーター下にはスマホが収納できる引き出し付き(写真:Harley Davidson)

コックピットも一新され、新しくなった大型ワイドのフルカラーTFTディスプレイの美しい画面や、高性能スピーカーから流れるクリアなサウンドを聞きながら街を流すだけで贅沢な気分になれる。また、これらを使いこなすためのスイッチ類のデザインも現代的で操作もしやすかった。ハーレーの中でも大きく立派なツーリングファミリーはついつい見た目の雰囲気に圧倒されがちだが、乗ってみるととても素直で扱いやすい。ストリートグライドはその代表格と言っていいだろう。

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