兵庫県知事が全力で辞任を拒む「3つの拠り所」 「辞めるタイミング」を逃した大きなリスク

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また告発文書問題の内容を調査する第三者委員会も、斎藤知事の“居座り”の理由となるかもしれない。第三者委員会は9月18日に初会合が開かれ、来年3月上旬に調査結果が公表される予定だが、「それを待つ」という名目で、半年ほど粘ることができる。

兵庫県知事は幼い頃からの夢だった

「元彦」という名前は第36・37代兵庫県知事を務めた故・金井元彦にちなんで斎藤知事の祖父が付けた。日本ケミカルシューズ工業組合理事長を務めた祖父は、兵庫県政にも顔が利き、自民党国会議員が県議時代の後援会長も務めていた。兵庫県知事になることは、斎藤知事の幼い時からの夢であり、祖父との約束でもあったのだろう。

自分は何も悪いことはしていない、兵庫県のために(維新に倣った)改革を進めていこうとしただけだーー。斎藤知事はそのように思い込んでいるに違いない。しかし問題が全国的に知れ渡った以上、もはや汚名返上は不可能だ。

公益通報制度を解せず、職員を死に追い込んだ知事として、斎藤知事の名前は兵庫県史に残るだろう。また議会の不信任決議案に対して解散権を行使するなら、地方議会で最初の例として記録される。

子曰く。知之これに及ぶとも、 仁之これを守ること能はざれば、 之を得と雖も、必ず之を失う(知恵が十分にあっても、仁の心を保たなければ、人民の支持を得たとしても、そのうち心は離れていく)ーー。

議会解散、補正予算、第三者委員会を盾に居座る斎藤知事が失うものは大きいが、兵庫県が失ったものはさらに大きい。

安積 明子 ジャーナリスト

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あづみ あきこ / Akiko Azumi

兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。1994年国会議員政策担当秘書資格試験合格。参院議員の政策担当秘書として勤務の後、各媒体でコラムを執筆し、テレビ・ラジオで政治についても解説。取材の対象は自公から共産党まで幅広く、フリーランスにも開放されている金曜日午後の官房長官会見には必ず参加する。2016年に『野党共闘(泣)。』、2017年12月には『"小池"にはまって、さあ大変!「希望の党」の凋落と突然の代表辞任』(以上ワニブックスPLUS新書)を上梓。

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