市場調査会社IDCによると、2023年の中国スマホ市場でアップルは17.3%のシェアを獲得し首位に立った。ただ、10~12月の出荷台数は前年同期比2.1%減少し、シェアもわずかだが低下した。9月に新iPhoneを発表し、旧iPhoneを値下げすることも多いアップルは年末にかけシェアを伸ばすので、異例のことだ。
一方で10~12月のファーウェイの出荷台数は同36.2%伸び4位につけた。同社のシェアが5位以内に入るのは、約2年ぶりだった。
2024年に入るとファーウェイの勢いがより鮮明となる。1~6月の中国スマホ市場で同社は首位に立った(IDC調査、四半期別では1~3月、4~6月ともに2位)。アップルは4~6月の出荷台数が同3.1%減少し、5位圏外に落ちた。iPhone 15の販売が振るわず、6月のネットセールでは各プラットフォームがiPhoneを値下げしたが、巻き返せなかった。
中国は消費の減速が深刻化しているが、スマホの高価格帯の市場はむしろ伸びている。IDCによると2024年4~6月の600ドル(約8万5000円)以上のシェアは同3%上昇し全体の26%を占める。アップルは追い風を生かせず、ファーウェイにシェアを奪われていることがわかる。
アップルが中華圏で苦戦する一方で…
アップルの苦戦は8月1日に発表した2024年4~6月期決算にも現れている。売上高が4~6月期決算で過去最高だったにもかかわらず、中華圏は前年同期比7%減少した。
一方、ファーウェイの2024年1〜6月期の売上高は同34%増の4175億元(約8兆3500億円)だった。2022年1~6月に売上高が3016億元まで減少したが、足元では規制前の水準に戻してきている。
浮かび上がるのは、アメリカの規制で土俵際まで追い詰められたファーウェイの粘り腰と、これだけ注目を浴び、「進化」をしているとは言え、iPhoneが革新性を失い「安定」したブランドになっているという現実だ。
iPhoneが圧倒的に強い日本ではiPhone 16の発表後、「16を買うか、値下げされた15を買うか、買い替えを見送るか」と、あくまでiPhoneをベースにした議論が展開されているが、中国市場では価格を据え置いて性能を向上させるだけでは消費者の支持を得られない。
規制後辛酸をなめてきたファーウェイの余氏は、Mate XTの発表で「開発に5年を費やした」と繰り返した。革新なければ生存なし。執念そのものである。
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