「寿司とインド」が双日のリテール事業を左右する 「世界最大の寿司市場」アメリカでは矢継ぎ早に手

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7月に買収を発表したのは、アメリカ中西部を中心とするスーパー300店舗以上にテイクアウト寿司コーナーを出店しているスシ・アベニュー社の事業だ。数十億円規模の投資となった。定番のマグロやサーモンといったネタの提供のほか、カニカマなどの新商品の開発も進めていくという。

「われわれの強みはBtoBtoC。C(最終消費者)を見据えながらBtoB(企業間取引)のバリューチェーンの中でしっかり稼ぐ。Cの目線を入れながらビジネスの主導権を取っていく」と村井本部長は話す。

双日は近年、水産事業で集中的にM&Aを繰り返し、川下に当たる販売力を強化してきた。

1月にオレゴン州で現地法人を立ち上げたマリンフーズは、2022年に日本ハムから買収した企業だ(公表された企業価値は約265億円)。日本のうにの主要輸入先はロシアとチリの2カ国。マリンフーズはチリ産うに製品で国内シェア1位だ。

2023年には冷凍マグロ加工販売のトライ産業を買収した。同社は冷凍マグロの仕入加工や販売などの一貫体制を確立し、国内市場シェア約15%を占める。

国内収益基盤の確立と海外展開を見据えた商材の充実は着実に進みつつある。今後は実際に海外市場を開拓していくステージだ。

「低すぎる」リテール事業の資本効率

一方、水産事業が属するリテール・コンシューマーサービス本部は、正念場を迎えている。

2026年度までの中期経営計画では、投下資本に対する基礎的営業キャッシュフローの割合(CROIC)を前中計平均の3.1%から6%に引き上げるミッションが課せられた。金属・資源・リサイクルなど7つある本部の中で、最も大きく資本効率を引き上げなければならない。

双日の植村幸祐社長は「伸ばすというより、今が低すぎる。われわれは好んで収益性が低いところに投資しているわけではない。6%まで持っていかなければ投資した意味がない」と発破をかける。

水産事業の純利益は中計最終年度の2026年度に40億円とする。直近実績の2023年度は12億円だったので、約3.3倍に伸ばす計画だ。

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