海外で「日本食材卸」大手3社が絶好調の納得理由 売り上げは5年で倍増、日本食の「黒子役」が躍進
コメや水産物、日本でおなじみのお菓子や調味料、日本酒……。
主に日本の食品を海外の日本食レストランや小売店などへ卸す、「日本食材卸」事業。近年、このビジネスが大きく成長している。
業界の3強であるキッコーマン、西本Wismettacホールディングス(ウィズメタック)、宝ホールディングス(HD)の同事業の売り上げは、2022年度に2017年度比で約2倍になった。為替影響を除いても、例えばキッコーマンの売り上げは、この5年で6割以上伸長している。
ウィズメタックの新開裕之副社長は「ニッチなビジネスで長年業界すらなく、10年ほど前からやっと認知され始めた」という同市場について、「明確な定義はないが、近年大きく伸びて1兆円規模に成長している」と話す。
アメリカで「スシネイティブ」世代が育つ
背景に海外における日本食ブームがあることは間違いない。
農林水産省によれば、海外における日本食レストラン数は約18.7万店(2023年)。「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録された2013年には約5.5万店だったが、10年で3倍以上になった。日本食への健康的なイメージなどがブームを加速させてきた。
ブームの中心はアメリカで、同国が日本食材卸の最大の市場だ。
アメリカの日本食市場では、天ぷらや鉄板焼き、すき焼きから寿司と、10〜15年ほどのスパンで主役の交代が起きてきた。代替わりの中でも定着したのは寿司で、今では部活帰りにスーパーで巻き寿司を買って帰るような、日常的に寿司を食べる「スシネイティブ」世代も育っている。
さらに、ラーメンやうどん、お好み焼きなどの比較的安価なメニューにも注目が集まる。
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