RJBの調査によると、世帯年収600万円以下で、働きたいのに働けていない子持ち主婦は約156万人もいるとのこと。この層を労働市場に呼び込もうと両社がタッグを組んだのが、「ママスクエア」事業の始まりだ。
子持ち主婦の多くが、働きたくても働けない最大の理由は、昨今の深刻な待機児童問題などにより託児先が確保できないから。ならば、「仕事がママと子どもたちのそばに来ればいい」と考え、この託児機能付きのワーキングカフェを構想したのだという。
時給900円の求人に300人以上が殺到
この狙いは大当たりで、予想をはるかに超える反響があった。求人には、社会人経験のある子持ち主婦が殺到。アウトソーシング業界は人手不足で時給1400円でも人材が集まらないそうだが、今回時給900円で募集をかけたところ、なんと300人以上もの応募があったという。
電話対応や文書入力の業務が中心のため、関連業務の経験者は優先的に採用したが、特に重視したのは「素直で真面目であること」。面接で見抜くには難しそうな要素だが、約2000人の主婦面接で培った勘に狂いはなかったようだ。実際、採用したスタッフはみな、真面目で一生懸命だという。現に成果も上げており、すでに3人はリーダーに昇格して時給も50円アップしている。また、みなオシャレをして出勤してくるそうだ。
「久しぶりに社会に出ることをとても楽しんでいる。この“やらされ感”のない点が他社にない強み」と藤代代表は分析する。
ちなみに、筆者は学生時代にコールセンターでアルバイトをしていたが、非常に向き不向きのある業務で、数日以内に辞めてしまう人を何人も見てきた。今もあまり人気のない職種であるそうだが、ママスクエアでは脱落者が一人も出ていないという。「やっと仕事に就けた、次はない、という思いもあるのでは」(藤代代表)。
それだけ子持ち主婦の再就職事情は厳しいのだ。ママスクエアには、子どもがいるという理由により採用面接に落ち続けてきた女性の応募が多い。中には「ここが決まらなかったら、どうすればいいのか」と憔悴しきって面接に来た女性もいたとか。時給1500円のスーパーバイザー職の募集に至っては、元キャビンアテンダントや有名企業の統括マネージャー、TOEIC800点保持者など、ハイスペックな”元キャリ主婦“からも応募があるそうだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら