スズキ、「単独路線」で勝ち残れるのか ワーゲンとの"協議離婚"がようやく成立

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VWにとってはどうか。もともとスズキにこだわっていたフェルディナント・ピエヒ前会長は、路線対立から経営を退いている。両社の関係が修復不可能になっている以上、たとえ法的に関係継続が認められたとしても、得られるものはない。メンツはともかく、お荷物でしかないスズキ株が、今回の買い戻しによって利益とキャッシュを生めば、現経営陣にとって悪い話ではない。30日にVWは「収益および流動性の改善を期待している」というコメントを出したが、“負け惜しみ”だけではないはずだ。

スズキにとって、そしておそらくVWにとっても、最悪のシナリオは提携解消が認められず、別れのきっかけを失うことだったのではないか。新しい一歩を踏み出せるという意味では両社にとってハッピーと言えなくもない。なお、提携前と現在ではスズキ株は約1.7倍、VW株は約2.0倍に値上がりしている(円/ユーロ相場は変動を経てほぼ同じ水準)。

引く手数多のスズキ、再婚するのか?

VW問題が片付いたことで、次の注目はスズキの次の相手だ。

本命視されるのは、かつてパートナーだったGM。資本関係が終わったのはGMの経営危機が原因で、両社に悪い感情は残っていない。鈴木俊宏社長はGM駐在の経験もある。

このところ業界周辺で名前が挙がるのがトヨタ自動車。グループ始祖の豊田佐吉とスズキ創業者の鈴木道雄は同郷で、グループ会社から役員を受け入れたこともあり、歴史的にも関係が深い。このほか、フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)も度々ラブコールを送っている。

修会長(右)と、その長男である俊宏社長(真ん中)という鈴木親子が率いるスズキ。再婚相手には困らない

小型車での明確な強みを持ち、成長著しいインド市場で圧倒的な地位を誇るスズキは、大手自動車メーカーにとって魅力的だ。スズキが組みたいと思えば、おそらく相手には困らない。

しかし、「スズキが当面必要とする技術は自社で賄える。焦って次のパートナー探す必要はない」とナカニシ自動車産業リサーチの中西孝樹代表は話す。

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