スズキ、「単独路線」で勝ち残れるのか

ワーゲンとの"協議離婚"がようやく成立

2009年のVWとの提携会見では、明るい未来が待っているかに見えた(上写真)。異例の日曜日に、急きょ開かれた契約解除に関する会見。鈴木修会長(右)は”ノドに刺さっていた小骨”が取れてすっきりした様子。左は6月に就任した鈴木俊宏社長

4年近くに及んだ離婚訴訟が決着し、結婚生活は6年弱で終焉を迎えた。

資本提携の解消を巡って争っていた、スズキと独フォルクスワーゲン(VW)に対し、国際仲裁裁判所は協業契約の解除を認め、VWが持つ19.9%のスズキ株をスズキが買い戻すという裁定を下した。

「この結果に満足しております。最大の目的を達成することができた」「ノドに小骨が刺さっていた状態だった。(解決して)非常にスッキリした」。8月30日の緊急会見で、スズキの鈴木修会長はこう感想を述べた。

両社が資本業務提携したのは2009年12月。長年、資本提携してきた米ゼネラルモーターズ(GM)が、経営危機からスズキ株を売却した翌年のことだった。スズキはVWの技術開発力に魅力を感じ、VWはスズキの小型車とインドでの強みを評価した。

理想的なカップル誕生と思われた。が、対等の関係を期待するスズキと、支配力を強めようとするVWの関係は程なく悪化。2011年9月にはスズキは提携解消を申し入れたが、株式の売却をVWが拒否したため、スズキは国際仲裁裁判所に調停を訴えていた。

スズキは損をした?

もっとも、これを“スズキの勝利”と言っていいかは微妙だ。ディーゼルエンジンの供給を巡る契約など、裁判所は一部でスズキの契約違反も認めた。今後、損害賠償が発生する可能性もあり、この件に関しては審議が続く。ただ金額は未確定だが、経営を揺るがすようなことはないと見られる。

また、スズキ株の買い取りには、約4400億円(株価次第で変動)が必要となる。スズキは6月末時点で7900億円の現金同等物や、持ち合いのVW株(1.5%、時価約1000億円)も保有しており、自己資金で賄う方針だ。VWの取得金額が約2300億円だったことから、スズキが「損をした感」は残る。

ただ、約2000億円の差額が損失かというとそれは違う。支払額が増えたのは、この6年弱でスズキの株価が上がったからで、それ自体は喜ばしいことだ。

次ページ相手に困らないスズキ
自動車最前線の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • ポストコロナのメガ地経学ーパワー・バランス/世界秩序/文明
  • 森口将之の自動車デザイン考
  • 最新の週刊東洋経済
  • 晩婚さんいらっしゃい!
トレンドライブラリーAD
人気の動画
東芝、会社「3分割」に残る懸念
東芝、会社「3分割」に残る懸念
ANAとJAL、国内線で競り合う復活レースの熾烈
ANAとJAL、国内線で競り合う復活レースの熾烈
富裕層、世代でまったく異なる「お金の使い方」
富裕層、世代でまったく異なる「お金の使い方」
EVの切り札?夢の「全固体電池」は何がスゴいのか
EVの切り札?夢の「全固体電池」は何がスゴいのか
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
メタバース革命が始まる<br>全解明 暗号資産&NFT

不正流出事件から4年。復活不可能に見えたビットコイン相場は米国主導で活況を取り戻しました。暗号資産を使ったNFTの購入、そしてNFT取引が広がるメタバースにもビジネスの機会が広がっています。日本は暗号資産とどう向き合うのでしょうか。

東洋経済education×ICT