スズキ、「単独路線」で勝ち残れるのか ワーゲンとの"協議離婚"がようやく成立
4年近くに及んだ離婚訴訟が決着し、結婚生活は6年弱で終焉を迎えた。
資本提携の解消を巡って争っていた、スズキと独フォルクスワーゲン(VW)に対し、国際仲裁裁判所は協業契約の解除を認め、VWが持つ19.9%のスズキ株をスズキが買い戻すという裁定を下した。
「この結果に満足しております。最大の目的を達成することができた」「ノドに小骨が刺さっていた状態だった。(解決して)非常にスッキリした」。8月30日の緊急会見で、スズキの鈴木修会長はこう感想を述べた。
両社が資本業務提携したのは2009年12月。長年、資本提携してきた米ゼネラルモーターズ(GM)が、経営危機からスズキ株を売却した翌年のことだった。スズキはVWの技術開発力に魅力を感じ、VWはスズキの小型車とインドでの強みを評価した。
理想的なカップル誕生と思われた。が、対等の関係を期待するスズキと、支配力を強めようとするVWの関係は程なく悪化。2011年9月にはスズキは提携解消を申し入れたが、株式の売却をVWが拒否したため、スズキは国際仲裁裁判所に調停を訴えていた。
スズキは損をした?
もっとも、これを“スズキの勝利”と言っていいかは微妙だ。ディーゼルエンジンの供給を巡る契約など、裁判所は一部でスズキの契約違反も認めた。今後、損害賠償が発生する可能性もあり、この件に関しては審議が続く。ただ金額は未確定だが、経営を揺るがすようなことはないと見られる。
また、スズキ株の買い取りには、約4400億円(株価次第で変動)が必要となる。スズキは6月末時点で7900億円の現金同等物や、持ち合いのVW株(1.5%、時価約1000億円)も保有しており、自己資金で賄う方針だ。VWの取得金額が約2300億円だったことから、スズキが「損をした感」は残る。
ただ、約2000億円の差額が損失かというとそれは違う。支払額が増えたのは、この6年弱でスズキの株価が上がったからで、それ自体は喜ばしいことだ。
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