オバマ再選と米金融危機、有効な規制を復活させ、危機の主犯は刑務所へ
オバマ大統領はウォール街を占拠すべきだ。といっても、ホワイトハウスのスタッフをウォール街へ送り込み、デモに合流せよという意味ではない。オバマが大統領就任直後にやっておくべきだった政策を今こそ実行すべし、ということだ。
すなわち、金融・証券規制をよみがえらせ、連邦議会に対して関連法案を可決するよう主張し、広範に債務免除を実施して住宅業界の惨状に強力に対処すべきだ。さらに重要なのは、主な金融機関と、その現在と当時の幹部たちに対し、彼らの不正な活動が米国の金融システム全体をほぼ壊滅させたことを理由に(民事責任にとどまらず)刑事責任を問うべきなのだ。
ガイトナー長官の“罪”
また、金融業界関係者に対し、正常に機能する安定した金融システムにおいて常識である、健全な融資・運用に徹するよう要求すべきだ。これは決して過激な主張ではない。むしろかなり穏健で、保守的だとすらいえる。1990年代後半から2008年にかけて、規制当局はウォール街に無謀な取引がはびこるのを許してきたが、その生ぬるさと比べれば過激に見えるだけだ。
残念なことに、オバマが大統領就任以降、講じてきた対策は、どうひいき目に見ても中途半端だ。理由の一つは、持続的回復に必要な銀行がさらに弱体化するのではないかという懸念があったからだ。誤った助言の主な出所は、大統領の信任の厚いガイトナー財務長官だ。
一方、金融業界は規制制度を改革・再強化しようとする法案を骨抜きにするため、莫大なカネを使って議会や規制当局にロビー活動を行った。共和党も、いかなる政府規制にも断固反対し、規制に非常に重要な役割を担う証券取引委員会(SEC)を資金・人材不足に陥らせている。