【産業天気図・工作機械】「重工長大」向けと輸出が牽引。記録破りの絶好調が続く
工作機械の“記録更新”が続いている。
工作機械の11月の受注額は前年比3.7%増となり、50カ月連続して前年実績を上回った。過去の最長記録は45カ月。単月の受注額としても1209億円は1990年11月の1168億円を抜いて史上最高。さらに、31カ月連続して受注額が1000億円を上回ったのも史上初。記録づくめの「絶好調」である。「絶好調」は今下期から07年度にかけて続くと見ていいだろう。
本当なら、06年度下期に業界はガックリ来ているはずだった。「この秋には復活する」と言われていた自動車からの発注が全然「復活」しないからだ。1~11月の自動車向け受注は前年比22%減。ところが、それを補って余りあるのが建設機械・発電プラント・航空機など「重工長大」産業向けの受注の盛り上がりだ。1~11月累計で一般機械向けは9%、造船向け17%、鉄鋼・非鉄金属向け20%の増加となっている。「重厚長大」産業の勢いは、ここしばらく続きそうだ。
もう一つは輸出の堅調だ。同じく1~11月累計で前年比14%増。とりわけユーロ高にも助けられ、かつての“日本の先生”=欧州向けが34%増と突出した伸びとなった。少なくとも06年度下期について急激な円高転換は考えらない。
来07年度のポイントは、改めて自動車向けの復活である。これについては「自動車からの発注が来年も今年のようだったら、自動車各社の世界戦略に支障が出てくる。そんなことはしないはず」というのが工作機械業界の共通見解。日本工作機械工業会の中村健一会長は「07年はマイナス要素がほとんどない。間違いなく、引き続き、いい年になる」と断言するのである。
個別企業として業界の「絶好調」を象徴するのが、ファナック<6954.東証>。工作機械の中枢部品であるNC装置で5割以上の世界シェアを握り、06年度も前年度に続き連続して最高益を更新する。業界で最大の売り上げを誇る板金マシンのアマダ<6113.東証>も欧州向けが急伸。国内の中小企業向け需要も広がり、ファナック同様、前年度に続いて最高益を塗り替える。
【梅沢正邦記者】
(株)東洋経済新報社 会社四季報速報プラス編集部
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