自民党総裁選で林芳正氏が挑む「あまりに高い壁」 低認知度に旧岸田派分裂、"安全牌"の迫力不足

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こうした状況を踏まえてか、翌5日朝の民放テレビ局のニュース番組では、「兵庫県知事問題は上位で扱われたが、林、茂木両氏の総裁選出馬会見はトップテンにも入らなかった」(関係者)のが実態だ。そうした状況下、6日には国民的人気が抜群とされる小泉進次郎元環境相の総裁選出馬会見が予定されており、民放テレビ各局も各情報番組での「生中継」も検討しているとされる。

ただ、6日には兵庫県知事の“おねだり疑惑”に関する「百条委員会での知事尋問」も予定されており、「時間が重なった場合、視聴者がどちらに興味を示すかは予測しにくい」(民放幹部)との声も出ている。

そこで林氏に話を戻し、改めて同氏のこれまでの閣僚歴を振り返ると「突発事案を受けた緊急登板が目立つ」(政治ジャーナリスト)。確かに、2015年には政治献金問題が発覚して辞任した西川公也農相の後任となり、2017年には組織的な天下りあっせんや学校法人「加計学園」問題の“火消し役”として文科相に就任。さらに、昨年12月には清和政策研究会(旧安倍派)の政治資金パーティーをめぐる裏金疑惑での松野博一官房長官の辞任を受け、後任の官房長官に就任している。

“火消し役”では「自民再生の切り札」にはなれない?

そうした過去も踏まえ、永田町では林氏の誕生日が「1月19日」であることに引っ掛けて、「119番の林」とも呼ばれてきた。それだけに「今回、旧岸田派が草刈り場になることを防ぐ役目が回ってきたのもまさに林氏らしい」(閣僚経験者)との見方もあり、周辺は「近い将来、自民党が火だるまになりそうな時の“火消し役”になれれば」(側近)と期待するが、「火を消すだけでは、党再生の切り札にはなり得ない」(自民長老)との厳しい声も少なくない。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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